暗号資産マーケットメイカーのWintermuteは、ビットコイン相場について、短期反発を支える3つの材料が確認されたとの見方を示した。一方で、本格的な上昇トレンドへの転換を判断するにはなお材料不足で、継続的な資金流入とマクロ環境の安定を見極める必要があると指摘した。
CoinPostによると、Wintermuteは最新レポートで、ビットコイン市場には短期的な底打ちを示す兆候があるものの、トレンド転換を断定するには根拠が十分ではないと分析した。
第1の材料として挙げたのは、相場の下値の堅さだ。ビットコインは、米国によるイランへの空爆が報じられるなど地政学リスクが意識される局面でも、6万2000ドルの支持線を維持した。
Wintermuteはこれまでも、市場が回復局面に入るには、レバレッジ解消後も悪材料が連鎖的な売りにつながらない市場構造が必要だとしてきた。今回の値動きは、その条件に沿うものだったと評価している。
第2は資金フローの改善だ。米国のビットコイン現物ETFでは、8週連続の純流出が止まり、純流入に転じた。
Wintermuteは、現物ETFの資金フロー反転を相場回復の重要条件の一つとして重視してきた。今回は、下値の堅さと資金フローの改善という2つの条件が同時に確認されたとしている。
第3は、Strategyによる大口売却を市場が消化した点だ。Strategyは優先株の配当原資を確保するため、6月29日から7月5日にかけて約3588BTCを2億1600万ドル規模で売却した。
これは、同社が事実上の「ビットコインは売らない」との従来方針を修正して以降で最大規模の売りとなった。
過去にはStrategyの比較的小規模な売却でも市場心理が揺れたが、今回は売却規模が大きかったにもかかわらず、価格への影響は限定的だった。Wintermuteは、投資家が売却自体よりも、同社のビットコイン資金化の枠組みが計画通り機能しているかに注目しているとみている。
もっとも、Wintermuteは、これらのシグナルだけで強気相場の再開を断定するのは難しいと強調した。トレンド回復を確認するには、一時的な反発ではなく、価格上昇の持続と資金流入の継続が必要だと説明している。
マクロ環境も引き続き重要な変数だ。Wintermuteは、最近の国際原油価格の急騰と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を主な注目点に挙げた。
特に、米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回れば、利上げ観測の後退を通じて暗号資産市場に追い風となる可能性があるとした。実際、直近に発表された米国の6月CPIはインフレ圧力の鈍化を示し、利上げ見通しを一部和らげたという。
一方、デリバティブ市場では慎重姿勢が続く。ビットコインのオプション市場では、上昇に賭けるコールオプションよりも、下落リスクに備えるプットオプションの需要が大きかった。
これは、現物市場が安定している一方で、投資家が短期的には防御的なポジションを維持していることを示すサインとみることができる。
今後の注目点としてWintermuteは、ETFへの資金流入が持続するかに加え、中東情勢、とりわけホルムズ海峡を巡る地政学リスクを挙げた。さらに、米議会でのCLARITY法案の審議の行方も、市場心理に影響し得る要因だとした。
総じてみれば、ビットコイン市場は足元の下押し圧力をこなし、短期反発の土台を一部整えつつある。ただ、強気相場の再開を判断するには、資金流入の持続性とマクロ環境の安定という追加条件が満たされるかを見極める必要がある。