Samsung ElectronicsとSK hynixの2026年4〜6月期業績が、そろって過去最高を更新する見通しとなった。両社の合算営業利益は約150兆ウォンに達するとみられ、証券業界では下期もメモリー需給の逼迫とAI需要の拡大を背景に、業績の勢いが続くとの見方が広がっている。
Samsung Electronicsは4〜6月期の暫定営業利益として89兆4000億ウォンを発表した。前四半期比では56%増となる。DS(半導体)とDX(セット)を含む全社ベースの暫定値で、非メモリー部門の赤字を抱えながらも高水準の利益を確保した格好だ。
事業部門別の詳細は月末の確定決算で明らかになるが、市場では利益の大半をメモリー事業が稼いだとみられている。Hana Securitiesは、メモリー事業の営業利益を91兆ウォン、非メモリーのシステム半導体事業を2兆ウォンの営業赤字と試算した。
Daishin Securitiesも、非メモリーで2兆3000億ウォンの赤字、MXで1兆ウォンの赤字、家電事業(CE/VD)でも0.1兆ウォンの赤字を見込んでいる。
今回の業績には、多額の業績連動賞与引当金も織り込まれている。支給額は10兆ウォン台半ばから後半に達したと推計される。
Hana Securitiesは、この引当金反映前ではメモリー事業の営業利益が100兆ウォンを上回っていた可能性があると分析した。Daishin Securitiesも、業績連動賞与引当金を除けば、メモリー事業の営業利益は109兆ウォンに達したとみている。
SK hynixについては、4〜6月期の営業利益が61兆〜67兆ウォン台になるとの観測が出ている。IBK Investment & Securitiesは61兆ウォン、Hana Securitiesは67兆6000億ウォンをそれぞれ予想した。
SK hynixはHBMの売上構成比が高いため、汎用Dラムの価格上昇の恩恵は競合に比べて小さかったとされる。それでも、HBMや高性能Dラム、企業向けSSD(eSSD)を軸とする高付加価値の製品ミックスで、高い収益性を維持したとの見方が多い。IBK Investment & Securitiesは、SK hynixのDラム事業の営業利益率が80%に達する可能性があると試算している。
市場の関心は、今回の業績がピークではない点にも向かっている。Hana Securitiesは、下期もメモリーの供給不足が続き、想定を上回る強い価格動向が継続すると見通した。
NVIDIAの「Vera Rubin」出荷開始を受け、LPDDRを中心に供給不足が一段と深まるとの見方もある。コスト競争力の劣る中華圏メーカーが供給を絞る一方で、NVIDIAの需要がそれを吸収しているという。
こうした状況から、メモリー大手2社の好業績を単なる半導体市況の上昇局面とみなすのは難しい、との声も出ている。景気循環に左右される産業から、構造的な成長産業へと再評価されつつあるという見方だ。
IBK Investment & Securitiesは、AIがエージェント型へ進化することで、メモリー需要が急拡大していると分析した。エージェントAIは生成AIに比べてトークン使用量が1万倍に達する可能性があり、ツール利用やコード検査などの処理増加を通じてDラム需要を押し上げるほか、KVキャッシュ確保に伴うNAND需要の拡大にもつながるとしている。
同社は、トークン量が2倍になれば必要なメモリー容量は4倍に増えると説明する。こうした需要拡大を踏まえ、ジェンスン・フアンNVIDIA最高経営責任者(CEO)はAIチップ市場の規模見通しを、昨年の5000億ドルから今年は1兆ドル超へ引き上げた。
構造変化を背景に、両社のバリュエーション見直しを求める見方も出ている。IBK Investment & Securitiesは、SK hynix株が2026年予想ベースでPER8倍前後にとどまっている点を挙げ、今後7年間で10倍成長が期待される産業を単純な市況株として評価し続けるのは難しいと指摘した。
SK hynixが7月10日に米ナスダックで米国預託証券(ADR)の取引を開始したことも、再評価を促す材料として注目されている。
下期はHBM4が本格化、戦略は分かれる
もっとも、同じ追い風の中でも両社の戦略には違いがある。Daishin Securitiesによると、Samsung Electronicsは供給制約局面で積極的な値上げを進め、利益最大化を優先した。
4〜6月期のDラム販売量は前四半期比10%増となり、会社ガイダンスを上回った。Dラム価格の上昇率でも業界トップ水準を主導したとの評価が出ている。
Samsung Electronicsは業績連動賞与引当金の負担が大きかった。このためDaishin Securitiesは、従業員補償を目的とした自社株買いの再開が、株価の下支え要因になる可能性があるとみている。非メモリー事業では、ASICや車載向け、モバイル向けアプリケーションプロセッサ(AP)などの新規受注への期待も残る。
一方のSK hynixは、HBMとeSSDを中心とする高付加価値製品ミックスを通じ、安定した収益性の確保に軸足を置いた。
焦点は下期だ。HBM4の出荷は7〜9月期から本格化する見通しとなっている。
IBK Investment & Securitiesは、HBM4の立ち上がり初期の収益性はHBM3Eを下回るとみる一方、販売構成比が想定より低いため、Dラム事業の営業利益率への影響は限定的と予想する。Samsung Electronicsにとっては、HBM4参入が業績反転の鍵になる。
同社は、Samsung ElectronicsのHBM売上が、HBM4の数量拡大が見込まれる7〜9月期から本格的に業績へ寄与すると期待している。
2027年のHBM価格交渉も重要なテーマとして残る。Daishin Securitiesは、Samsung Electronicsの2027年HBM平均販売単価(ASP)が前年比91%上昇すると予測した。
汎用Dラム価格が1年で約4倍に上昇したことを踏まえ、それを反映したHBM価格の引き上げ交渉が進んでいるとされる。今後の焦点は、両社が価格交渉でどこまで優位性を確保できるかだ。
下期のHBM4立ち上がりと価格交渉の行方次第では、メモリー2強の力学が改めて動く可能性がある。