写真=イ・ジヨン記者

金融機関の異常取引検知システム(FDS)を通過した不正取引が、電子決済代行(PG)事業者の段階でも止められない問題を受け、韓国のPG業界が共同対応に乗り出した。金融監督院と韓国フィンテック産業協会は15日、業界横断の「オンライン不正決済対応協議体」を発足させ、各社の検知ノウハウや対応事例を共有しながら、11月をめどに標準実務指針を策定する方針を示した。

協議体の発足式はソウル・汝矣島のOne IFCで開かれた。主要PG事業者のほか、金融保安院、学界、セキュリティ分野の専門家が参加した。PG事業者ではNaver Financial、Kakao Pay、Viva Republica、Daangn Pay、Hecto Financial、COOCONなどが名を連ねた。

金融当局は、簡便決済の普及で認証手続きが簡素化する一方、個人情報の窃取などを悪用した不正決済リスクが拡大しているとみている。とりわけ、カード会社や銀行のFDSで検知されなかった異常取引が、PG段階でもそのまま通過し、実際の不正決済被害につながり得る点を大きな脆弱性と位置付けている。

PG事業者は加盟店とカード会社・銀行の間に立ち、決済情報の中継や代金精算を担う立場にある。決済プロセスにおける異常取引の遮断も重要な役割だが、金融監督院は、こうした構造的な課題は個社単独の対応では限界があると判断し、業界横断の連携体制を整えることにした。

金融監督院のイ・ジョンオ デジタル・IT副院長補は「PG事業者が利用者の利便性や収益拡大ばかりを重視し、不正決済事故を放置すれば、最終的に利用者被害を招き、市場の信頼も失うことになる」と述べた。その上で、「金融機関のFDSで見逃された異常取引をPG事業者側でも遮断できないという構造的な脆弱性は、各社の努力だけで解消するのは難しい」とし、共同対応の必要性を強調した。

協議体は、FDSを扱う分科会と、マネーロンダリング対策を担うAML分科会に分けて運営する。参加するPG事業者は、各社が蓄積してきた異常取引の検知経験や不正決済への対応事例を持ち寄り、業界で発生した不正決済事例や現行の対応体制の課題を分析する。現場で実際に使える共通の実務指針づくりにつなげる考えだ。

韓国フィンテック産業協会のキム・ジョンヒョン会長は「高度化・巧妙化する不正決済の手口に対し、個社対応だけでは限界がある」と指摘した上で、「協議体が形式的な議論にとどまらないよう、現場の声を丁寧に集約し、業界がすぐに実行に移せる対策を用意したい」と述べた。

参加したPG事業者も、不正決済対策は消費者保護に直結する業界共通の課題との認識で一致した。今後策定する標準実務指針については、現場で実効性を持たせるため、実務面から意見を示し、策定作業に加わる方針だ。

外部の諮問委員として参加したコ・チョルス韓国金融犯罪予防協会副会長らも、FDSやAMLの実務で培った経験を基に、現場で直ちに適用できる現実的な方策の検討に加わる。

協議体は10月までに、業界の不正決済事例と現在の対応体制が抱える課題を共有・診断する。その後、「不正決済予防・対応標準実務指針」の草案をまとめ、PG事業者や専門家の意見を集約した上で、11月に最終案を確定する計画だ。指針策定後には、結果を共有するセミナーも開く予定としている。

金融監督院は、協議体が策定する標準実務指針が監督制度と整合し、現場に定着するよう、業界と緊密に意思疎通していく方針だ。

イ副院長補は「フィンテック事業者の市場への影響力は一段と大きくなっている。それに見合う役割と責任が求められる時期だ」と述べた。さらに「利便性と、それに伴う副作用のバランスをどう取るかは難しい課題だ。市場変化が大きく、監督体制が追随するのも容易ではないだけに、自主的な取り組みは何より重要だと考えている」と語った。

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