AIバブル論を否定し、人間の進化の必要性を訴えたソン会長(写真=SoftBank World 2026)

SoftBank Groupのソン会長兼社長は7月14日、同日開催した「SoftBank World 2026」の特別講演で、AIの浸透によって「人間が生物の頂点でいられる時代は終わる」と述べ、人間もAIとともに進化していく必要があるとの認識を示した。

ソン会長は、2040年を見据えたAI産業の将来像と人類の対応の方向性について説明し、「人間が頂点の生物である時代は終わる。良い悪いの問題ではない」と発言した。そのうえで、「スーパー人間になることが、われわれ人間の生きる道だ」と語り、AIを単なる生産性向上のツールではなく、人間の立ち位置そのものを変える構造変化だと位置付けた。

2040年には、超知能(ASI)が世界経済の中核を担うようになるとの見方も示した。ASIが世界GDPの約20%を占め、年間売上高は7000兆円規模に達すると予測した。

この市場では、利益率が50%近い企業が現れる可能性があるとし、年間3500兆円前後の利益を生み出し得ると説明した。株式時価総額でも、全体の80%水準を占める可能性があるとの見方を示した。

こうした試算の前提として挙げたのが、超大型インフラの整備だ。2040年のAIデータセンターの電力需要は3テラワットに達し、現在の世界の電力使用量の1.8倍に相当すると予想した。この数値は、データセンター向けに限った需要だとしている。

2040年以降も電力需要は毎年1テラワットずつ増えるとみており、電源構成については当面ガス火力が中心となる一方、2040年には核融合が主力になると展望した。

核融合については、水を原料とするクリーンなエネルギーだとしたうえで、地球の炭素問題や温暖化問題が「うそみたいに消える可能性がある」と述べた。

計算能力の規模にも言及した。ソン会長は、2040年のAIデータセンターが到達する水準として、10の30乗を表す「クエタ」の単位を挙げた。

そのうえで、「クエタを知らない人がAIを語ってはいけない」と述べ、今後のAIインフラを巡る議論は、現在よりはるかに大きな規模を前提に進めるべきだと強調した。

必要な投資額も巨額になるとする。ソン会長は、こうしたインフラ整備には年間5兆ドル、約7500兆円の投資が必要になると明らかにした。

さらに、鉄道や高速道路と同様に、AIインフラも長期計画が必要な分野だと指摘。「15年後を考えずにインフラを語ってはいけない」と述べた。世界GDPの20%を占める市場が年間7000兆円の売上を生むのであれば、年間800兆円を投じても十分に採算が見込めるとの考えを示した。

AI投資を巡る過熱論には明確に反論した。AIはバブルかとの問いに対し、「とてつもなく愚かな質問だ」と述べ、その問い自体がAIの本質への理解不足に基づくものだと指摘した。

また、飛行機に乗ったことのない人が飛行機を語り、車に乗ったことのない人が車を語るようなものだと例え、自身についても「私は今、朝から夜までAIを使っている」と語り、AIを日常的に活用していると説明した。

ソン会長は、インターネット革命でも初期20年で自社領域の首位を取れなかった企業は、その後も頂点に立てなかったと振り返り、AI革命でも2040年を見据えた長期戦略が不可欠だと強調した。

今回の発言は、AIを巡る技術競争にとどまらず、電力、データセンター、長期の資本投資まで含めた産業構造の変化を前面に押し出した点が特徴といえる。ソン会長は、人間の役割も縮小ではなく増強の方向で再定義すべきだとし、AI時代の競争力は、技術の導入そのものよりも、インフラと活用体制をどれだけ迅速に整えられるかに左右されるとの考えを示した。

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