写真=n+。車載技術を取り入れたVolkswagenブランドの電動アシスト自転車

Volkswagenはプレミアム自転車メーカーのn+と協業し、後方カメラやレーダー式の死角警告機能を備えたVolkswagenブランドの電動アシスト自転車を発表した。ブレーキランプや方向表示機能も搭載し、都市部での走行時の安全性向上を打ち出している。

EVメディアCleanTechnicaが14日(現地時間)に報じた。新モデルは、ハンドルバーのディスプレイと連動する高解像度の後方カメラを搭載。走行中でも後方の道路状況をリアルタイムで確認できるという。

レーダーを使った死角警告機能も備える。「Smart View」機能により、後方から接近する車両を検知してライダーに通知する仕組みだ。n+は、電動アシスト自転車の普及に伴って関連事故も増えているとして、乗用車並みの予防安全技術が必要だと説明している。

灯火類には自動車由来のデザインと機能を取り入れた。上部フレームにはフロント側に伸びるLEDストリップライトを配置し、Volkswagen車のライティングデザインをモチーフにしたとしている。日中でも複数の角度から車体を視認しやすいよう設計した。

リア側のストリップライトは、ブレーキ時に赤く点灯し、進路変更時にはオレンジ色に切り替わる。自動車のブレーキランプとウインカーの役割を自転車向けに落とし込んだ形だ。

周辺デバイスとの連携も特徴の1つだ。VolkswagenブランドのスマートヘルメットはBluetoothで車体と接続し、ヘルメット内蔵のLEDライトがブレーキや進路変更の動きに連動。後続車に対して視認性を高める。

同時に公開したスマートグラスは、ライダーの視界内にナビゲーションや後方の死角警告、走行情報を表示する。報道によると、戦闘機向けヘッドアップディスプレイの開発に携わったエンジニアも関連技術の開発に参加した。視線を右上に動かすことで、表示のオン・オフを切り替えられるという。

今回の製品投入は、Volkswagenが自動車以外のパーソナルモビリティ分野へブランドを広げる動きとも重なる。Volkswagenグループは工場閉鎖や人員削減、車種の整理を含む構造改革を進める一方、自動運転と電動化への投資は続けている。

新型の電動アシスト自転車は、業績改善を直接狙う施策というより、変化するモビリティ市場に対応しながらブランドイメージの裾野を広げる試みとみられる。

電動アシスト自転車市場でも、スマート技術を軸とした再編が進んでいる。市場調査会社CSM Internationalは、AIベースのペダルアシストや経路最適化、モバイル機器との連携を主要トレンドに挙げる。専用アプリを通じて、ナビゲーションや運動目標、メンテナンス通知を提供する機能も広がっているという。

Volkswagenは今回の製品を単体の電動アシスト自転車ではなく、ヘルメットやスマートグラスを組み合わせたコネクテッドな走行環境として訴求している。自動車で培った安全技術とデザインをパーソナルモビリティに展開し、高価格帯市場を狙う戦略とみられる。

今後の焦点は、この協業が限定的なブランド製品にとどまるのか、それともVolkswagenのコネクテッド・パーソナルモビリティ事業へ発展するのかにある。今回の電動アシスト自転車は、自動車の安全技術を二輪モビリティに転用するとともに、四輪EV以外にもブランドの接点を広げる狙いを示した。

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