米国株のAI相場を巡って過熱懸念が強まるなか、ジム・クレイマー氏は14日、足元の市場はドットコムバブル崩壊前とは異なるとの見方を示した。金利環境や企業業績、株価水準を踏まえると、市場全体をバブルと断じるのは難しいと主張した。
CNBCによると、同氏はAI関連株の急騰を認めつつも、現在の相場は2000年前後のハイテク株バブルとは構造が違うと指摘した。一部銘柄には過度な期待が織り込まれている可能性があるとしながらも、それを市場全体に当てはめるべきではないとした。
「例外的に過熱した銘柄は常にあるが、それが市場全体や保有銘柄全体を代表するわけではない」とも語った。
米国株はこの1年、AI投資ブームを追い風に高値圏で推移してきた。半導体やAI関連銘柄の上昇が目立ち、過熱論も強まっている。メモリ半導体のMicronは年初来で243%超上昇し、SanDiskは644%以上上昇した。こうした値動きが、1990年代後半のドットコム相場との比較を招いている。
クレイマー氏は、当時との違いとして金利、業績、バリュエーションの3点を挙げた。この日発表された消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加引き締めへの警戒感が和らいだと指摘した。
そのうえで、「ドットコムバブル崩壊のような展開は、大幅な利上げが相次いで初めて起こり得るものだが、現状はそうした局面ではない」と述べた。さらに、ケビン・ウォーシュ氏が新FRB議長に就いた後も、現在の物価水準が続く限り、金融引き締めに大きく傾く状況には見えないとの認識を示した。
バリュエーション面でも、過去ほどの割高感はないとした。FactSetのデータを基に、2000年のバブル期を前にしたS&P500の予想株価収益率(PER)は25倍を上回っていたのに対し、現在は約20倍だと説明した。「大きな違いだ。20倍が極端に割安というわけではないが、2000年当時のような高い市場ではない」と語った。
大型金融株の業績も、市場の底堅さを示す材料として挙げた。Bank of America、Goldman Sachs、JPMorganはいずれもこの日発表した決算で、売上高、利益とも市場予想を上回ったという。これら銘柄の予想PERはおおむね12〜18倍の水準にあり、「ばかげているほど安い。これを過熱と呼べるのか」と強調した。
ハイテク株についても、同様の見方を示した。SK hynixは2027年の利益予想ベースで約4倍、Micronは約6倍で取引されているとし、NVIDIAについてもAI分野での支配力を踏まえれば、市場全体と同程度のマルチプルにとどまっていると評価した。
そのうえで同氏は、現在の市場を特徴付けているのは一部の投機的銘柄ではなく、多くの大型株に見られる相対的な割安さだと指摘した。「今の市場を代表しているのは、多くの大型株の低いバリュエーションだ」と述べた。
今回の発言は、AI関連銘柄の急騰が続くなか、米国株市場が2000年代初頭のような急激な調整局面に向かうのかを巡る議論が強まる中で出たものだ。少なくとも現時点では、金利負担、企業収益、株価水準のいずれを見ても、市場全体をバブルとみるのは難しいというのが同氏の見方だ。