デミス・ハサビス氏は、AGIの早期到来を見据え、先端AIの公開前審査を担う独立機関の設立を提案した。写真=Shutterstock

Google DeepMindのデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)は14日、汎用人工知能(AGI)が数年内に到来する可能性があるとの見方を示し、米国で先端AIモデルを公開前に評価する独立した審査機関の設立を提案した。AGIは電気や火の発見に匹敵する変化をもたらし得るとして、技術進展に見合う安全体制の整備を急ぐべきだと訴えた。

14日付のDecryptによると、ハサビス氏は同日、X(旧Twitter)への投稿で「AGIは10年以内、おそらく残された時間は数年しかない」との認識を示した。あわせて、AGIについて、人間と同等かそれ以上の水準で幅広い課題を理解し、学習し、遂行できるAIだと説明した。

ハサビス氏は、AGIの影響はインターネットやモバイル革命を上回る可能性があると指摘した。「AGIは電気や火の発見により近い技術だ」とし、科学、産業、社会全体を根底から変える潜在力があると評価した。

一方で、安全面のリスクにも強い懸念を示した。現在の先端AIモデルだけでもサイバーセキュリティ上の脅威は現実のものとなっており、今後は生物学や核技術、国家安全保障の分野にまでリスクが広がりかねないと警鐘を鳴らした。

とりわけ、AIの自律性が高まり、自ら性能を改善する方向に進むほど、人間が統制を維持するための安全装置が不可欠になると強調した。「より自律的で、再帰的に自己改善するシステムを制御するには、強力な安全装置が必要だ」と述べた。

その対応策として、米国に「フロンティアAI標準機関」(Frontier AI Standards Body)を設ける案を示した。米証券業界を監督する民間の自主規制機関であるFINRAに近い枠組みを想定し、政府の監督の下で業界と専門家が参加する官民協力モデルを描いた。

この機関は、先端AIモデルの一般公開前に、性能やリスクを評価する役割を担う。運営財源はAI企業が負担し、独立した技術専門家やオープンソースコミュニティの関係者も評価プロセスに加わる構想だ。

ハサビス氏は、特に最も高性能なAIシステムについては、公開前の安全性検証を恒常的に義務付ける必要があると強調した。「AIの急速な進化は、動的で適応可能でありながら厳格な試験体制を求める」とした上で、米国は技術力と経済力を背景に、こうした国際基準の整備を先行できると主張した。

今回の提案は、AGIの到来が想定より早まる可能性があるとの見方がAI業界で相次いでいる流れとも重なる。AnthropicのCEO、ダリオ・アモデイ氏は今年初め、人間水準のAIが1〜5年以内に登場し得ると予測しており、ハサビス氏も6月、AGIが2030年より前に現実化する可能性に言及していた。

米国では、AIの安全規制を巡る議論が続いている。OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏は2023年の米上院公聴会で、高性能AIモデルに対する免許制と独立した安全監査制度を提案した。ドナルド・トランプ米大統領も先月、先端AIモデルの公開前検証を促す自主的な安全枠組みの整備に向けた大統領令に署名した。アモデイ氏も同月、米連邦航空局(FAA)並みのAI安全規制が必要だと訴えた。

ハサビス氏は、AGIが現実のものとなる前に、国際社会が共通の安全基準を整える時間は多くないと改めて強調した。「未来はまだ決まっていない」とした上で、「AGI到来までの限られた時間の中で、人類全体のために技術の方向性を決めなければならない」と述べた。さらに、「適切な安全装置が整えば、AGIは科学と人類の発展に新たな黄金期をもたらし得る」と付け加えた。

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