米株式市場で14日、サイバーセキュリティ関連銘柄がそろって上昇した。IBMのアービンド・クリシュナCEOが、AIの普及に伴ってサイバー攻撃リスクへの警戒が強まり、企業がセキュリティ投資を見直していると述べたことが買い材料となった。
米CNBCによると、クリシュナCEOは四半期業績を巡る説明の中で、企業顧客の大きな懸念の一つとしてサイバーセキュリティを挙げた。IT予算がサーバーやメモリーなどAIインフラに振り向けられる一方で、セキュリティリスクへの警戒感も急速に高まっていると説明した。
市場はこれに敏感に反応した。Okta、Netskope、CrowdStrikeはそれぞれ約10%上昇。SailPoint、Zscaler、SentinelOneも約8%高となり、Palo Alto Networksも約7%値を上げた。
背景には、AIの進展が中長期的にセキュリティ需要を押し上げるとの見方がある。高性能AIモデルの普及によって、サイバー攻撃のスピードや巧妙さが増すとの懸念が強まっており、企業が既存の防御体制を見直し、関連投資を積み増す可能性が意識された。
クリシュナCEOは特に、Anthropicの高性能AIモデル「Mithos」に言及し、企業顧客がセキュリティ支出の水準を改めて見直していると述べた。「この『Mithos』が人々を立ち止まらせている」とした上で、「企業はサイバーセキュリティにどれだけ追加で支出すべきかを見直している」と語った。
一方で、こうした不確実性は短期的に契約の成約を遅らせる要因にもなっているという。クリシュナCEOは、四半期末にかけて一部の大型案件が保留になったとし、企業がAIとセキュリティを取り巻く環境変化を見極めるまで、新規投資を一時的に先送りしていると明らかにした。
そのうえで、IBMのソフトウェア事業そのものがAIによって直接的な打撃を受けているわけではないと強調した。「当社のソフトウェアがAIに侵食されているとはまったく見ていない」と述べ、AIが既存ソフトウェア需要を置き換えるというより、企業の予算配分や投資の優先順位を変えているとの認識を示した。
今回の発言は、AI導入が企業のIT予算の流れをどう変えているかを示す材料として受け止められた。企業はAI向けインフラへの投資比率を高める一方、新たな脅威に備えてサイバーセキュリティ支出の拡大も迫られている。
市場では、短期的に一部案件の遅れがあっても、AI普及は長期的にセキュリティ投資の拡大圧力につながるとの見方が出ている。今回の関連株高も、個別企業の業績より、今後の需要環境の変化を先回りして織り込む動きとみられている。