英ロンドンに拠点を置く防衛分野特化のAIインフラ新興企業Valarian Technologiesは、ソブリンAI事業の拡大に向け、シリーズAで5000万ドルを調達した。
米SiliconANGLEが14日(現地時間)に報じた。調達はNew Enterprise Associatesが主導し、同社にとって欧州の防衛関連スタートアップへの初の投資案件となる。Lightbank、XTX Markets、Sequoia、LitVCも参加したほか、ゴクル・ラジャラム氏とニケシュ・アローラ氏もエンジェル投資家として加わった。
Valarian Technologiesは、政府機関や規制業種のうち、高い機密性が求められる計算環境向けにAIインフラを提供している。共同創業者はマックス・ブチャン氏と、Palantirの元幹部で米陸軍士官出身のジョシュ・マクラフリン氏。AIシステムやミッションクリティカルなアプリケーション、重要インフラが稼働する環境で、ワークロード単位の制御を可能にする基盤の構築を目指している。
中核プラットフォーム「ACRA」は、重要ソフトウェアの実行、データへのアクセス、他プラットフォームとの通信を、導入組織が自ら制御できるよう設計した。もともとは分離された計算環境とデータ運用のために開発されたもので、パブリッククラウド上で運用するシステムであっても、共有環境から完全に切り離す必要がある政府機関や企業の需要を見込む。
欧州ではAI導入が進む一方、米大手テック企業への依存を減らそうとする動きも強まっている。報道によると、2025年の欧州の防衛支出は3920億ユーロを超え、このうち相当額がAIベースのシステムに振り向けられた。防衛機関や規制業種がパブリッククラウドよりオンプレミス環境を選好してきた背景には、主権に関わる制御権限を確保する必要性があるという。
同社は商用顧客向けに「Valarian Enterprise」、軍・防衛機関向けに「Valarian Defense」を展開している。Valarian Defenseは、各国軍と防衛機関がリスクを抑えた計算環境を構築できるようにする点に重点を置く。
英国政府も、自国のソブリンAI能力の強化を打ち出している。カニシカ・ナラヤン英AI・オンライン安全担当相は、AI技術がハードパワーとソフトパワーの中核的な資産になっているとの認識を示し、英国のソブリンAI能力を構築する必要性を訴えた。New Enterprise Associatesのパートナー、ムスタファ・ニムチワラ氏は、企業と政府のコンピューティングにおける次の中核レイヤーはソブリン・インフラになると述べた。