暗号資産ビットコインのイメージ写真=Shutterstock

米国の6月消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に鈍化し、暗号資産市場でショートポジションの清算が急増した。とりわけEthereum(ETH)ではショートの巻き戻しが強まり、発表直後の清算額はBitcoin(BTC)を上回った。

ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、14日(現地時間)のCPI公表後1時間で、暗号資産市場のショート清算額は1億3490万ドルに達した。これに対し、同期間のロング清算額は706万ドルにとどまり、ショート清算はロングの約19倍となった。

相場急変のきっかけとなったのは、伸びが市場予想を下回った米物価指標だ。6月CPIは前月比0.4%低下し、2020年4月以来の大幅な下落となった。前年比上昇率は3.5%に鈍化し、食品とエネルギーを除くコアCPIも2.6%まで低下した。

市場では、インフレ圧力の緩和を示すシグナルとして受け止められた。これを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測は後退し、利上げ確率は約8%まで低下した。米株価指数先物も上昇し、投資家のリスク選好は持ち直した。

こうした反応が最も鮮明に表れたのが、暗号資産デリバティブ市場だった。CoinGlassの集計では、CPI発表後の最初の1時間で、ショートの損失はロングの19.1倍に達した。1日ベースでは8万9498人のトレーダーが強制清算され、清算総額は4億1337万ドルとなった。

今回のショートスクイーズでは、Ethereumの清算額がBitcoinを上回った。発表直後1時間のEthereumのショート清算額は5671万ドルで、Bitcoin先物の4114万ドルを上回った。直近24時間で最大の単一清算も、Binanceで発生したETHUSDTの637万ドルだった。

これは、短期的にEthereumへの下落ベットがより積み上がっていたことを示す動きとみられる。物価指標の公表後、想定を上回る買いが流入したことでEthereumのショート清算が連鎖的に進み、価格上昇が追加の清算を誘う典型的なショートスクイーズの展開となった。

市場参加者は、米物価上昇率が再び4%を下回った点にも注目している。インフレ鈍化が続けば、FRBが早ければ今秋にも利下げに転じるとの見方が強まるためだ。暗号資産は金利や流動性の変化に敏感なリスク資産とされ、金利負担の緩和期待が買いを後押ししたとみられる。

テクニカル面でも変化が意識されている。大規模なショート清算によって弱気ポジションの整理が進み、従来の下押し圧力が和らいだとの見方が出ている。U.Todayは、今回の値動きの後、BitcoinとEthereumの中期的なサポートラインがそれぞれ6万3500ドルと1800ドル近辺で形成される可能性があると伝えた。

市場では、今回の急伸は単なる自律反発というより、デリバティブ市場でのポジション調整の色彩が濃いとの見方が広がっている。Ethereumのショート清算額がBitcoinを上回り、短期筋のポジションの偏りが浮き彫りになったことで、今後も追加の物価指標やFRBの政策シグナルに左右される不安定な相場展開が続く可能性がある。

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