AI-RANとフィジカルAIの実証概念図(画像=NIA)

韓国情報化社会振興院(NIA)は7月15日、イウム5Gを活用し、通信基地局のAI演算機能と産業用ロボットを連携させる国内初の現場実証を開始すると発表した。実証はHyundai Steelの唐津熱延工場で実施する。

同事業は、韓国科学技術情報通信部の公募事業として進める「AI-RANとフィジカルAIサービス統合技術」の実証プロジェクト。産業現場に同技術を構築し、実運用環境で有効性を検証する。

AI-RANは、通信基地局にAI演算機能を組み込み、通信環境を最適化するとともに、周辺機器や端末に必要なAI処理を支援する次世代無線ネットワーク技術を指す。フィジカルAIは、ロボットなど現実世界で動作するハードウェアにAIを組み合わせた技術だ。

今回の実証では、5G特化網のイウム5Gを基盤に、通信インフラへ高性能GPUベースのAI演算機能を実装し、フィジカルAIと連携させる。NIAによると、AI-RANとフィジカルAIを組み合わせたこうした産業現場での実証は国内初という。通信インフラからロボットデバイスまで、サプライチェーン全体を国産技術で構成する点も特徴としている。

NIAが主管機関を務め、国内の企業・機関7者が参加する。参加機関は年末までにインフラ構築と現場実証を進める予定だ。なお、本事業は「AI-RANアライアンス対面会議」で、韓国のAI-RAN基盤フィジカルAI実証事例として紹介された。

実証場所となるHyundai Steelの唐津熱延工場では、従来の現場ロボットは搭載チップの処理性能やバッテリー容量に制約があり、複雑なAI推論や熟練作業者レベルの復旧対応には限界があったという。

これに対しNIAは、「ロボットによる現場認識→AI-RANネットワークによる判断→ロボットによる対応実行」という構造を実装する。ロボットが収集した現場情報をAI-RANインフラへ送信し、ネットワーク側で複雑な演算や判断を行ったうえで、ロボットに作業指示を返す仕組みだ。

ネットワークがロボットの“脳”の役割を一部担うことで、ロボット単体では不足しがちな演算性能やバッテリー容量の制約を補う狙いがある。

あわせて、複数ロボットを単一のAI-RANネットワークに接続し、協調制御するサービスも実証する。複数のロボットが現場の危険情報をリアルタイムで共有し、作業を分担できるかどうかを検証する。

NIAは今後、国内の「5G-Aテストベッド」とグローバルの「O-RANグローバルプラグフェスト」を連携させ、技術の試験・検証も進める。年内にインフラ構築と検証を終えた後、今後2年間のフォローアップを通じて技術の高度化と普及を支援する計画だ。

キム・ヒョンチョル院長は「今回の事業は、通信とAI、物理ロボットが結び付くフィジカルAI時代の呼び水になる」としたうえで、「国内のAIネットワーク企業とフィジカルAI企業がグローバル市場へ進出するうえで、実証リファレンスの確保につながることを期待している」と述べた。

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