米資産運用会社のGrayscaleは、Strategyによる最近のビットコイン売却について、短期的にはネガティブ材料と受け止められたものの、結果として財務運営への信認回復につながる可能性があるとの見方を示した。売却方針を明確にしたことで資金繰りを巡る不透明感が和らぎ、ビットコイン相場の下値固めにも寄与し得ると分析している。
ブロックチェーンメディアのコインポストが7日(現地時間)に伝えた。Grayscaleは、Strategyの売却が一見すると市場に衝撃を与えたものの、最終的には同社の財務健全性や資金調達体制に対する信頼を高めたとみている。
焦点は、ビットコインを売却した事実そのものではなく、どのような原則に基づいて売却したかにある。Strategyは6月29日、「Digital Credit Capital Framework」を公表し、優先株の配当に必要な現金準備を維持するため、新株発行とビットコイン売却を併用し得る方針を正式に示した。
これにあわせて取締役会は、最大12億5000万ドル規模のビットコイン売却を可能にする「BTC収益化プログラム」も承認した。
方針公表後、売却は直ちに実施された。Strategyは6月29日から7月5日にかけて3588BTCを約2億1600万ドルで売却し、調達した資金を優先株配当の原資に充てた。
Grayscaleは、この対応が短期的にはビットコイン価格の重荷となった一方で、財務の安定性を高めた点をより重視している。
市場ではこれまで、Strategyの現金流動性を巡る懸念がくすぶっていた。同社は約520億ドル相当のビットコインを保有する一方、約70億ドルの負債に加え、年20億ドル未満の優先株配当負担を抱えている。
とりわけ5月末には、ドル準備金が約8億7000万ドルまで減少し、配当支払い余力が約6カ月分に縮小したことで、市場の警戒感が強まっていた。
ただ、今回の売却後は状況が改善した。ドル準備金は約25億5000万ドルに増え、優先株配当を賄える期間も約17カ月水準まで延びた。
Grayscaleは、Strategyが「配当支払いに必要な現金準備を一定水準以上に維持する」という原則を明確に打ち出したことが、投資家の信頼回復につながったとみている。
市場も一定の反応を示している。Strategyが発行したデジタルクレジット優先株「STRC」は足元で持ち直しており、資金運用戦略が前向きに受け止められ始めた兆候と受け止められている。
Grayscaleは、今回の事例がビットコイン市場全体にもプラスに働く可能性があると指摘した。無計画な資産売却ではなく、あらかじめ公表したフレームワークに沿って資産と現金のバランスを調整したことで、市場が抱く不確実性の低下につながるという。
もっとも、追加売却の可能性は残る。Strategyの取締役会は最大12億5000万ドル規模のBTC収益化プログラムを承認しており、必要に応じて同じ原則の下で追加売却に踏み切る余地がある。
Grayscaleは、Strategyが今後も一貫した資金運用方針を維持し、市場の信頼をつなぎとめることができれば、今回の措置は短期的な下押しを超えて、ビットコイン相場のより強い下値固めにつながる可能性があるとみている。