Pearl Abyssは7日、京畿道・果川市の本社「Pearl Abyss Home One」で株主説明会を開き、「Crimson Desert」発売後の事業戦略や株主還元策について説明した。説明会では、株価低迷に対する株主の懸念が相次いだほか、次回作「DokeV」の開発時期、DLC投入、新規プラットフォーム展開などが主要な論点となった。
説明会には、ホ・ジニョン代表取締役、チョ・ミヨン最高財務責任者(CFO)、イ・ドンウォン最高執行責任者(COO)が出席し、説明と質疑応答を含めて3時間超にわたった。
冒頭、ホ代表は「足元の株価推移によって株主が感じている失望や不安を、経営陣として重く受け止めている」と述べた。4月1日には「Crimson Desert」への期待感から、株価が取引時間中に52週高値の7万7400ウォンまで上昇したが、この日は3万ウォン台後半にとどまり、高値から大きく下げた水準が続いている。
同社は6月9日、創業以来初となる配当と、自社株消却・自社株買いを柱とする企業価値向上策を公表しており、今回の説明会ではその内容についても改めて説明した。
会社側は、株主の関心事項を(1)「Crimson Desert」の次の成長戦略(2)「DokeV」の開発進捗と情報開示方針(3)株主還元策の履行(4)市場とのコミュニケーション強化――の4点に整理した。
◆「DokeV」は2028年下期を目標、情報開示は慎重
イCOOはまず、「Crimson Desert」の販売実績を説明した。同作は発売初日に200万本、発売83日で定価ベース600万本を販売したという。イCOOは「オンラインゲームではなく、コンソール向けオープンワールドのパッケージゲーム市場で収めた成果であり、従来の韓国ゲーム企業とは異なる成功事例だ」と評価した。
一方で、株主の関心はヒットの事実そのものより、発売後の成長シナリオへ移っている。とりわけ、次回作「DokeV」をいつ、どの完成度で市場に示すのかが焦点となった。
イCOOは「DokeVは2028年下期の発売を目標としている」と述べ、現在はコンテンツ制作を拡大しながら、ゲームのプレイループを具体化する段階に入っていると説明した。
映像公開の時期については慎重な姿勢を示した。イCOOは「公開が早すぎると、完成前の状態で評価される可能性がある」とした上で、「公開後の期待と関心を発売まで維持し、実際の成果につなげられるかを基準に判断する」と語った。
ホ代表も、「Crimson Desert」の発売までに時間を要したことで、市場の信頼を一部損ねた面があると認識していると述べた。その上で、「DokeVは、すでに整備された制作基盤の上で進めるプロジェクトであり、開発の見通しは大きく改善している」と説明した。
◆DLCと対応機種拡大で“谷間”を補完
質疑応答では、「Crimson Desert」後から「DokeV」発売までの約2年半をどうつなぐのかに質問が集中した。ある株主は、「Crimson Desert」は成功したが、「DokeV」と「Plan 8」までの期間が長いと指摘。第1四半期の営業利益が2121億ウォン、通期では4700億~5000億ウォン規模が見込まれるにもかかわらず、株価収益率(PER)は6倍前後にとどまり、同業他社と比べて過度に割安だと主張した。
別の株主からは、KOSPI上場の同規模ゲーム企業と比べ、開発実績や販売規模が相対的に小さい企業でも、より高いバリュエーションを得ているとの指摘も出た。市場に対して、より明確なメッセージを打ち出すべきだとの声も上がった。
これに対し、チョCFOは「Crimson Desertのヒットだけで市場の信頼が直ちに回復するとは考えていない」とし、「次回作の成功可能性まで示してこそ、信頼回復につながる」と述べた。ホ代表は、グローバル上位の開発会社へ成長できれば企業価値もそれに見合って評価され得るとの認識を示し、チョCFOも「企業価値の評価は前提とする時点によって異なる」とした上で、「長期的には企業価値の上昇とともに時価総額の拡大も実現できる」と付け加えた。
会社側が示した“谷間”への対応策は大きく2つある。1つはDLCの投入だ。新たなストーリーや探索要素、拡張プレイを盛り込んだ有料コンテンツとして準備を進めているという。同社は「ゲームの完成度とマーケティング日程を合わせて固める必要がある」としつつ、「年内投入の可否と方向性については第3四半期中に明確に説明する」とした。
値引き施策については、「先に公表すると買い控えを招く可能性がある」として具体的な言及を避けた。年内の販売目標については、「市場では800万~1000万本への期待があることは認識している」とし、可能な限り販売本数を積み上げたい考えを示した。
「GTA6」など大型新作の影響については、新作待ち需要が生じる期間を活用する販売戦略を立てていると説明した。
新規プラットフォームに関しては、Nintendo Switch 2向け展開を検討しているものの、性能最適化や技術検証が残っており、現時点では確定していないとした。オンラインマルチプレイ対応の可能性にも触れたが、サーバ構成など検討課題が多いとして慎重な見方を示した。
マーケティング面では、8月にドイツで開かれるgamescomで、Samsung Electronicsの支援を受けて「Crimson Desert」のブースを運営する計画を明らかにした。自社エンジンの制作ノウハウをテーマとする別途の発表も予定している。一方で、同イベントで「DokeV」の映像公開は行わない。
ホ代表は、「Black Desert」IPのモバイル展開事例にも言及し、「最近、Black Space Engineがモバイルでも動作することを確認した」と説明した。その上で、同様の方式によるモバイル新作の可能性を社内で議論していると明らかにした。ただ、エンジンの外販やライセンス事業化については、「技術支援や保守体制が必要となり、開発リソースが分散しかねない」として、現時点で具体的な計画はないとした。
後続タイトルの「Plan 8」については、シューター系ジャンルをベースにコンセプトを具体化する段階にあると説明した。「DokeV」の開発が一定水準に達した段階で、中核人材を段階的に移し、開発スピードを高める考えだという。
「Crimson Desert」のエンドコンテンツについて、ホ代表は「単なる販売期間の延長ではなく、ユーザーが何を好むのかを確認し、次回作に反映するための投資と捉えている」と述べた。イCOOはMOD対応について、「公式対応は未定だが、MODコミュニティの活性化も含めて幅広く検討している」と語った。
◆株主還元は「打ち出すことより履行が重要」
チョCFOは、6月に公表した株主還元策の進捗についても説明した。年間100億ウォン、または当期純利益の10%のいずれか大きい金額を配当する方針を示し、保有する自己株式の50%に相当する分の消却はすでに完了した。年内には1000億ウォン規模の自社株買いも進める。チョCFOは「新たな政策を打ち出すことより、発表した政策を透明に履行することが信頼の出発点だ」と述べた。
代表取締役による直接買い付けを求める声に対しては、ホ代表が「キム・デイル議長を含む社内取締役4人が、会社株式の約38%を保有している」と説明した。その上で、「上場企業の経営陣による個人での株式取得には資本市場法上の制約がある」とし、「新作を成功裏に発売し、企業価値を高めることで責任を果たしたい」と答えた。
自社株買いの手法についてチョCFOは、「人為的に買い気配を引き上げるような方法は、相場操縦と受け取られかねない」と説明。買い入れ後の消却実施については、「取締役会で総合的に検討すべき事項だ」と述べた。
販売本数の開示方法や空売りへの対応を巡る質問も出た。チョCFOは「公表される累計販売本数は、各プラットフォームの精算構造や会計上の売上認識基準によって、実際の売上認識数量と差が生じる可能性がある」と説明。その一方で、「販売本数について開示を意図的に控えたり、事実を歪めたりしたことはない」と述べた。
空売りなど異常取引への対応については、「市場データを継続的にモニタリングしているが、現時点で違法または不公正取引があったと断定できる証拠は確認されていない」とした。KOSDAQのセグメント制導入については、制度基準が確定し次第対応する方針を示した。KOSPIへの移籍を求める株主の声に対しては、株主価値に資する選択肢かどうかを検討すると答えた。
4月に実施した子会社CCP Gamesの売却について、ホ代表は「自社IPとエンジンを中核とする戦略に経営資源を集中するための決定だ」と説明した。売却資金は新作開発と株主還元に活用する方針という。M&Aについては「確定した案件や協議中の案件はない」としつつ、成長に資する機会があれば前向きに検討すると述べた。
同社は、説明会で出た質問や意見を社内で整理し、今後のIR資料や決算発表に反映するとしている。「Crimson Desert」のDLC方針や新規プラットフォーム展開、「DokeV」の開発状況については、公式チャネルを通じて順次案内する方針だ。