写真=Tesla KoreaのX

Teslaが、フルセルフドライビング(FSD)の起動前に車内カメラで運転者の本人確認を行う機能を準備している可能性が浮上した。最新のiOSアプリのコード解析で関連記述が見つかったもので、登録済みの運転者と一致しない場合はFSDの起動を制限する仕組みが想定される。もっとも、現時点では正式機能としての実装は確認されておらず、導入には車両側ファームウェアの更新も必要になるとみられる。

Electrekが6日(現地時間)に報じたところによると、Teslaの最新iOSアプリのアップデート版のコード内に、運転者が許可されたプロファイルと一致するかを確認したうえで、FSDの利用可否を判定することを示す記述が含まれていた。

この記述は、6月27日にビルドされたTeslaアプリ「4.58.5」を解析した過程で確認された。コード内には「fsdIdentityCheckFailedTitle」など、本人確認の失敗に関する文字列も含まれていたという。

想定される仕組みは、車内カメラで運転者本人を確認し、登録済みの運転者と一致しない場合にFSDの起動をブロックし、スマートフォンアプリ上に失敗通知を表示するというものだ。

ただ、これだけで正式リリース予定の機能と断定することはできない。アプリのコードに先行して追加された機能が、実際の公開まで数週間から数カ月かかるケースもあれば、そのまま導入されない例もあるためだ。

また、実際に機能させるには車両側ファームウェアの対応も必要となる。アプリ単体で完結する機能ではないとみられる。

Teslaはすでに数年にわたり、車内カメラの活用範囲を広げてきた。2021年には車内カメラを使った運転者モニタリングを有効化し、その後は注意力や眠気、視線、頭部の位置などへ監視対象を拡大している。

2024年にはFSD v12.4で、ルームミラー上部の車内カメラが主要なモニタリング手段に位置付けられた。ステアリングホイールのトルク検知よりも、運転者の顔や視線を中心に注意状態を判断する方向へ比重を移してきた。

今回見つかった機能は、既存の注意力監視とは役割が異なる。注意力監視が運転者が前方や道路状況に注意を向けているかを確認するものだとすれば、本人確認は、その運転者にFSDを起動する権限があるかを事前に判定する仕組みといえる。

その意味で、今回の変更は安全警告の強化というより、アクセス制御の導入に近い。

こうした仕組みが検討される背景としては、FSDの提供形態の変化も挙げられる。現在のFSDは買い切り型よりもサブスクリプションでの提供が中心になっているという。

利用権限をアカウント所有者に紐づければ、有料機能の管理はしやすくなる。レンタカーやカーシェア、車両運用事業者にとっても、許可されていない運転者や未成年の利用者が先進運転支援機能を任意に起動するのを防ぐ手段になり得る。

ロボタクシー運用との連動可能性も指摘されている。Teslaは無人運行構想に向けて車内カメラの重要性を高めており、座席に座った人物が実際の配車依頼者と同一かを確認する仕組みは、配車型サービスの運用とも接点を持つ。

運転者確認機能が商用化されれば、一般乗用車向けのアクセス制御にとどまらず、ロボタクシー向け認証基盤へ発展する余地もあるという見方が出ている。

一方で、制約となるのはハードウェアだ。Teslaの車内カメラは、AppleのFace IDのような赤外線ベースの深度マッピングではなく、一般的なRGBセンサーを採用しているとされる。

このため、追加の権限確認手段としては活用できても、強固な生体認証としては限界があるとの指摘がある。既存の注意力監視と同様の制約を引き継ぐ可能性もある。

実際、Teslaの車両マニュアルでも、照明条件が悪い場合やカメラが遮られた場合、あるいは運転者がサングラスや帽子を着用している場合には、機能が無効化される可能性があるとしている。

仮に本人確認機能が導入された場合でも、こうした条件下では誤判定や認証失敗が起きる可能性がある。

今回確認されたのは、正式発表というより開発の方向性を示す記述とみるのが妥当だ。FSDを単なる運転支援機能ではなく、アカウント基盤のサービスとしてより強く結び付けようとする流れが、コードレベルで示された点が今回の焦点となる。

今後は、車両側ファームウェアへの実装が進むかどうかに加え、レンタカーやロボタクシーなど実際の利用環境でどのように適用されるかが注目点となる。

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