ビットコイン採掘大手のTeraWulfは、Anthropicと20年の長期リース契約を結び、AIデータセンター事業を本格化する。米ケンタッキー州のデータセンターキャンパスを提供し、契約期間中に約190億ドルの売上高を見込む。発表を受け、採掘関連銘柄にも買いが広がった。
米ブロックチェーンメディアDecryptが6日(現地時間)に報じた。TeraWulfは、ケンタッキー州ホッジビルにあるAIデータセンターキャンパスをAnthropicにリースする。
今回の契約は、TeraWulfの事業モデル転換を象徴する大型案件となる。Anthropicは、TeraWulfの「Justified Data」用地に整備される専用キャンパスを利用する予定で、同施設は長期的に約401メガワット(MW)の計算処理向け容量を支える計画だ。
第1段階の稼働は2027年下半期を予定しており、フルキャパシティーの整備は2028年初めまでを見込む。
市場の反応も早かった。TeraWulf株は発表後に24.05ドルまで上昇し、この日は一時14%高となった。
採掘関連では、IRENが13%超上昇したほか、Hut 8は12%、Cipher Digitalは11%上げた。社名変更後にビットコイン採掘事業から完全撤退したKill Infracoも、同日10%上昇した。
TeraWulfはあわせて、テキサス州のデータセンター事業に関する保有持ち分の売却も進める。Fluidstackと推進してきたAbernathy Joint Ventureの持ち分50.1%を、Fluidstack主導の投資家グループに売却することで合意した。
これによりTeraWulfは、約4億5000万ドルの投下資本をプレミアム付きで回収する見通しだ。今後はFluidstackが同プロジェクトの主導権を握る。
こうした再編は、ビットコイン採掘企業の収益源がAI演算インフラへ広がっていることを示している。メリーランド州に本社を置くTeraWulfは、これまでビットコイン採掘企業として知られてきたが、大規模言語モデル(LLM)の学習需要が急増する中、データセンターと電力インフラへ重点を移している。
対話型AI「Claude」を手がけるAnthropicも、モデル拡張に合わせ、長期的な電力とデータセンター容量の確保を急ぐ主要企業の一社だ。
TeraWulfの会長兼最高経営責任者(CEO)、ポール・プラガー氏は、「2月にJustified Dataキャンパスの取得を発表した際、2026年第2四半期末ごろまでに大口顧客との契約を確保する方針を投資家に示していた」と説明した。
そのうえで、「今回の発表は、最終文書の作成と通常の取引手続きが完了したことを受けたものだ。Anthropicとの画期的なパートナーシップを発表できることを誇りに思う」と述べた。
今回の契約では、契約先の信用力の高さも注目点となっている。TeraWulfは、この長期契約について、投資適格級の信用格付けに裏打ちされる見通しだと明らかにした。
市場では、単なる用地賃貸にとどまらず、長期キャッシュフローの予見性が高まった点に注目が集まっている。
足元では、採掘企業の株価はビットコイン価格よりもAIインフラ需要に敏感に反応する傾向を強めている。TeraWulfの事例は、電力とデータセンター資産を持つ採掘企業がAI演算市場で新たな収益源を確保できるかを占う試金石となりそうだ。