中国の国家インターネット情報弁公室(CAC)は、基準を満たさないAI関連サービス1万4000件超を削除した。違法・有害情報600万件超の削除や2万6000件超のアカウント停止も実施しており、AIサービスに対する管理を一段と強めている。
ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanが6日(現地時間)に報じた。CACは、2026年4月に始めた「清朗」キャンペーンの第1段階の結果を公表した。
CACによると、今回の取り締まりでは、安全基準を満たさないWebサイトやモバイルアプリ、AIエージェントなど1万4000件超のAI関連サービスを削除した。あわせて、違法・有害情報600万件超を削除し、2万6000件超のアカウントを停止した。さらに、AI関連の商品情報リスト約1300件と、違法と判断したオープンソースのデータセット9件も削除対象とした。
中国政府は今後、AIサービスの事前届け出や安全管理義務も強化する。各サービスには強力な安全フィルターの導入に加え、AI生成コンテンツであることを明示する表示が求められる。
学習データの管理基準も満たす必要があり、違反した場合はサービスの削除などの制裁対象になり得ると当局は警告した。一般利用者がAIの悪用事例を通報できる専用窓口も新設した。
主要IT企業も規制強化に対応を進めている。Huaweiはアプリストアの個別審査プロセスを強化し、AlibabaはAIコンテンツの識別システムを改善した。
Zhipu AIは新たな審査モデルを構築し、DeepSeekはデータ改ざん防止に向けた検証手続きを追加した。
地方政府も地域ごとの管理体制づくりを急いでいる。北京はプラットフォームの自主点検と技術審査を組み合わせた管理体制を導入し、上海はプラットフォームの類型に応じた規制を整備した。
浙江省はAIモデル監査と学習データのセキュリティ対策に重点を置き、江蘇省と広東省も通報システムや複数機関による連携体制を構築した。
中国当局は第2段階の取り締まりにも直ちに着手する。重点対象として、虚偽情報の生成、暴力・わいせつコンテンツの制作、他人へのなりすまし、未成年の権利侵害、AIを使った世論操作を挙げた。
違反した企業やアカウントへの処分も強化する。プラットフォーム運営会社に求める自主的な管理責任についても、より厳格に適用する方針だ。
15日からは「AI擬人化相互作用サービス管理暫定措置」も施行する。継続的な感情的関係の形成を想定したAIコンパニオンサービスを対象とする規定で、未成年向けの提供は禁止される。
14歳未満の利用者には保護者の同意を求めるほか、AIサービスには依存防止機能と即時終了機能の搭載も義務付ける。
これにあわせ、ByteDanceのDoubaoとAlibabaのQwenは、一部のカスタムAIエージェント機能を無効化するなど、サービスの見直しを進めている。
今回の措置は、中国が米国とのAI技術競争を続ける中で打ち出された点でも注目される。中国企業は最近、米国の最新AIモデル公開から数カ月以内に、同等の性能をうたうモデルを投入し、追い上げを強めている。
実際、セキュリティ企業のSemgrepは、Zhipu AIの無料モデルについて、ソフトウェア脆弱性検知の分野でAnthropicのClaude Opus 4を上回る性能を示したと評価した。
一方、Anthropicは、AlibabaのQwen開発チームなど一部の中国企業が偽アカウントを使って自社AIモデルを蒸留(distillation)したと主張し、問題提起を続けてきた。その後、中国地域での利用有無を確認する機能を追加したが、最近これを削除したとされる。
中国はAI産業の競争力を維持しながら、安全性の確保と未成年保護を強める方向で制度整備を進めている。第2段階の取り締まりと新規制が、国内AIサービスの運営や市場構造にどこまで影響を及ぼすかが焦点となりそうだ。