Bitcoinは、Strategyが3,588BTCを売却したと公表した直後に一時62,000ドルを下回ったが、その後は64,000ドル台まで持ち直した。市場では今回の売却を弱気シグナルではなく、同社の手元資金を厚くし財務リスクを抑える対応と受け止める見方が広がっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、Strategyは3,588BTCを約2億1600万ドルで売却した。これを受けてBitcoin相場は一時下落したものの、下げ幅は短時間で縮小した。
今回の売却は、マイケル・セイラー氏が率いるStrategyによるものだったため、市場の警戒感が強まった。同社株もプレマーケットで4%下落した。
一方で、相場は売りを早期に吸収した。Bitwiseの最高経営責任者(CEO)ハンター・ホースリー氏は足元の値動きについて、「Bitcoinはさらに上を試したがっている」との見方を示した。
背景にあるのは、Strategyの財務内容の改善だ。同社は売却後も84万3775BTCを保有しており、ドル建ての手元資金は25億5000万ドルに拡大した。Bitcoin保有量は減ったものの、資金余力はむしろ高まった格好だ。
マクロ環境も相場の支援材料とみられている。米雇用指標の鈍化を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まるなか、Bitcoinはこうした外部環境の変化に比較的底堅く推移しているとの評価が出ている。短期トレンドはなお強気とされる一方、上場投資信託(ETF)への資金フローや市場のポジション動向は引き続き懸念材料だ。
今回の売却については、単なる現金確保以上の意味を持つとの分析もある。Grayscaleでリサーチを統括するジャック・パンドル氏は、Strategyの最近の対応が資金調達構造に対する市場の信認回復につながり、Bitcoin相場が「より強固な下値」を固める助けになり得ると指摘した。一方で、Strategyのバランスシート自体は健全でも、市場環境の変化が不確実性を高めていたとも述べた。
実際、5月末時点のドル建て手元資金は約8億7000万ドルまで減少していた。これは優先株配当を賄える期間が約6カ月分にとどまる水準で、市場では同社が低いバリュエーションで新株を発行するのか、Bitcoinを売却するのか、あるいは優先株投資家への負担増につながるのかに注目が集まっていた。
こうした不透明感は、6月末にStrategyが新たな資金運用の枠組みを示したことで一部和らいだ。さらに今回の2億1600万ドル規模のBitcoin売却が加わり、ドル建て手元資金は25億5000万ドルへ増加した。優先株配当を賄える期間も約17カ月に延びた。
このため市場では、今回の売却をBitcoinに対する弱気姿勢の表れではなく、Strategyの財務リスクを抑えるための措置とみる向きが強い。大口の売却にもかかわらずBitcoinが短期間で下落分を取り戻したことは、当面の相場がマクロ要因以上に、資金調達構造や需給の変化に反応しやすいことを示している。