ビットコインは、Strategyの売却報道を受けて急落した後、短時間で下げ幅の大半を取り戻した。先物市場ではセンチメント改善の兆しが出ているものの、オプション市場にはなお警戒感が残る。相場の持ち直しが続くかどうかは、ビットコイン現物ETFへの資金流入が定着するかにかかっている。
6日付のCointelegraphによると、ビットコイン価格は報道直後に6万1300ドルまで下落した。その後は6万4000ドル近辺まで反発し、押し目では買いが入っていることを示した。
今回の下落は、Strategyによるビットコイン処分が投資家の警戒感を強めたことが主因とみられる。一方、同社が追加で2億1600万ドルの手元資金を確保したことで、配当支払いや債務対応力を巡る懸念はいくぶん和らいだ。市場の関心は売却自体に加え、同社の資金構造や追加売却の有無にも向かっている。
デリバティブ市場では、短期的な改善を示す動きも出た。ビットコインの無期限先物における年率換算の資金調達率は7日に9%まで上昇した。週末に一時マイナス圏へ沈んでいた資金調達率がプラスへ戻ったことで、弱気に傾いていたレバレッジ需要がやや落ち着いた格好だ。
もっとも、この数値だけで強い上昇期待が確認されたわけではない。現時点では、強気と弱気のレバレッジがどちらか一方に大きく傾いている状況ではないとの見方が優勢だ。
これに対し、オプション市場の警戒感は先物市場より強い。Deribitベースではプットのプレミアムがコールを上回り、プット・コール比率は1.15となった。ストレス局面では同指標が2を大きく超えることも珍しくないため、依然として極端な水準ではない。ただ、今回の反発が直ちに楽観へつながっていないことはうかがえる。
相場反発の持続性を左右する最大の変数は、ビットコイン現物ETFの資金フローだ。4日には2億2300万ドルの純流入となり、10営業日連続の純流出後で初めて資金が流入に転じた。6月の純流出額が45億1000万ドルまで膨らみ、投資家心理の重荷となっていただけに、この流れが続くかが焦点となる。
Strategyを巡る懸念もなお残る。同社の優先永久株「STRC US」の価格下落は、直近の弱気心理を強めた材料の一つとされる。この商品は12%の利回りを掲げる一方、新規株式発行は100ドルの固定価格でしか行えず、足元では配当原資を支える手段が細っている。
一方で、Strategyは17カ月分の配当を賄える現金性資産を保有している。ビットコインの追加売却を直ちに迫られているかどうかは、なお不透明だ。
需給面では、長期保有者による売り圧力の鈍化を示す兆しも出ている。長期保有者が取引所へ移したビットコインは1日平均4130BTCとなり、1週間前の8040BTCから大きく減少した。オンチェーンデータは、売り圧力の一巡によって6万ドルのサポートが強まる可能性を示している。
ただ、上昇トレンドへの復帰を判断するにはなお材料が不足している。Strategyはビットコイン購入分で80億ドル規模の含み損を抱えており、この点は引き続き市場の警戒材料だ。
加えて、ビットコイン現物ETFでまとまった純流入が継続して確認されなければ、デリバティブ市場の参加者が6万5000ドル超への上昇を素直に織り込む可能性は高くない。
足元のビットコイン市場は、短期的な自律反発と構造的な警戒感が併存する局面にある。売却報道ショックはひとまず吸収したものの、ETFへの資金流入の定着とデリバティブ市場の心理改善が伴わなければ、再び下押し圧力が強まる可能性がある。