画像はイメージ(ChatGPT生成)

韓国の主要ゲーム各社が2026年上半期、経営陣や中核組織の見直しを相次いで進めた。モバイルMMORPG中心の成長モデルに陰りが見える中、各社はPC・コンソール、自社IP、グローバル展開を軸に事業構造の転換を急いでいる。

今回の動きで問われているのは、誰がトップに就いたかではない。各社が次の成長に向け、どの機能や能力を経営の中核に据えるのかが焦点になっている。

◆Nexon・NEOWIZ、開発力とグローバル対応を重視

NexonとNEOWIZはともに、開発力とグローバル対応力の強化を打ち出した。ただ、アプローチは異なる。Nexonは既存の経営体制を維持しながら外部人材を新設ポストに迎え、NEOWIZは社内の開発責任者を代表に登用した。

Nexonは2月、Embark Studiosの最高経営責任者(CEO)であるパトリック・ソデールンド氏を、新設したグループ会長に選任した。会長職の設置は同社で初めて。

同氏はElectronic Arts(EA)、DICE、Embark Studiosでの経験を持ち、欧米のPC・コンソール市場への知見が深い。既存の経営陣がグループ運営を担う一方、同氏は次世代の開発力強化やグローバル拡大戦略の助言・監督に注力する。

狙いは、アジア偏重の収益構造を北米・欧州へ広げることにある。経営トップとは別に、グローバル開発戦略を主導する軸を置いた形だ。

この方向性は、Nexonの事業再編とも連動する。長寿オンラインゲームの「Bubble Fighter」や「Crazy Arcade」のサービス終了に加え、一部プロジェクトや系列会社の整理も進めており、収益性を基準に事業ポートフォリオを見直している。

中核IPの「MapleStory」「Dungeon & Fighter」に経営資源を集中する動きも、その延長線上にある。

一方のNEOWIZは、より直接的な手を打った。パク・ソンジュン新作開発グループ長を新たな代表取締役に内定し、ペ・テグン代表との共同代表体制に移行する。開発者出身者が代表に就くのは、創業以来初めてという。

パク氏はRound8 Studio本部長を経て、2023年から新作開発グループ長を兼任してきた。「Lies of P」の開発を主導した人物でもある。8月の定例取締役会で承認されれば正式就任する。

背景には、事業モデルの転換がある。NEOWIZは外部パブリッシング中心で成長してきたが、「Lies of P」のグローバルヒットを機に、自社開発IPを持つPC・コンソールゲーム企業への転換を進めている。

モバイル中心の事業では、リリース後の運営力や課金設計が競争力の核だった。これに対し、グローバルのPC・コンソール市場では、発売前の完成度やジャンル内での競争力が成否を左右する。Nexonが外部登用でグローバル開発力を補強したのに対し、NEOWIZは社内の開発人材に経営権限を持たせることで、同じ方向を目指している。

◆KRAFTON、IP運営の専門性を強化

KRAFTONの動きはやや異なる。代表交代や新設ポストではなく、グローバルパブリッシング部門のトップ交代を通じて、IP運営の専門性を高める構えだ。

海外事業を率いてきたオ・ジンホ最高グローバルパブリッシング責任者(CGPO)が退任し、後任にはチャン・テソクPUBG Studio総括が就いた。チャン氏は前身のBluehole時代から「PUBG: BATTLEGROUNDS」の開発初期に参加してきた初期メンバーで、2024年からはPUBG IPのフランチャイズ戦略とパブリッシング全般を担当していた。

開発現場を最もよく知る人物を、パブリッシング部門のトップに据えた格好だ。

この人事は単なるトップ交代にとどまらない。KRAFTONにとっては、「PUBG: BATTLEGROUNDS」以後を見据え、新作の発掘だけでなく、既存IPの長期運営や地域別市場に合わせた最適化の能力が一段と重要になっているためだ。

パブリッシング組織を単なる販売チャネルではなく、IPフランチャイズを継続運営する専門組織として位置付け直す流れといえる。

◆Kakao Games・Wemade、起点はガバナンスの変化

Kakao GamesとWemadeの変化は、経営戦略の見直しというより、まずガバナンスの変化が先行した。Kakao Gamesは外部資本の流入に伴う経営陣交代、Wemadeは創業者による持ち株売却を通じたオーナーシップ転換という性格が強い。

Kakao Gamesでは、LINEヤフーが出資した投資目的会社LAAA Investmentが筆頭株主となった後、先月22日の臨時株主総会を経て、キム・テファンLine Games副社長と、イ・シウKakao Games最高事業責任者(CBO)が共同代表取締役に選任された。

キム氏はNexonやLine GamesでM&Aや戦略投資を主導してきた人物で、中長期戦略とグローバル事業開発を担う。イ氏は創業初期から「ODIN: Valhalla Rising」など大型IPのパブリッシングを率いてきた実務責任者で、ゲーム事業全般を担当する。

両氏とも事業・戦略畑の出身で、今回の人事は開発主導体制への転換というより、新たな大株主の下で財務構造の安定化と事業ポートフォリオの再編を優先するものとの見方が出ている。6四半期連続の営業赤字という状況下で、新体制には新作の成果と収益改善を同時に示すことが求められる。

Wemadeは、経営陣の交代というよりオーナーシップ転換に近い。先月30日、パク・グァノ取締役会議長は、保有株式の全量をグローバル投資プラットフォームのNeoPulseに売却する株式譲渡契約(SPA)を締結した。

取引総額は約9200億ウォン。売却対象はパク氏保有分の39.33%で、取引完了は10月末を予定している。最終手続きと残代金の支払い完了が条件となるため、直ちに経営体制が変わるわけではない。

パク氏は社内メッセージで、韓国市場だけで会社の将来を描ける時代は終わり、より大きな市場への拡大は選択肢ではなく生存条件だと説明した。中核市場としては、MIR IPが競争力を持つ中国と、北米・欧州を挙げた。

NeoPulseも投資の背景として、WemadeのMMORPG開発力と、MIR IPの中国市場での競争力を評価したとしている。

◆成長モデルの転換で、求められる経営像も変化

韓国ゲーム業界の経営刷新は、各社で手法こそ異なるものの、向かう先には共通点がある。開発力の強化、IP運営の専門化、ガバナンス再編という3つの方向に分かれながらも、出発点にあるのは、モバイルMMORPG中心の成長モデルの限界をどう補うかという課題だ。

Wemadeのオーナーシップ転換まで含めれば、この流れは単なる経営人事の見直しを超え、業界全体のガバナンス再編へ広がりつつある。

業界関係者は「今回の改編は、単なる人事異動や組織整理ではなく、生存戦略そのものだ」と指摘する。「モバイル市場で実証された運営力だけでは、グローバルのPC・コンソール市場で成果を上げられるとは限らない。必要な能力を経営の中核に据える動きは、従来の成長モデルに代わる新たな意思決定構造を作ろうとするものだ」と話した。

そのうえで、「今後2~3年でグローバル市場で成果を示せなければ、上位企業と中堅ゲーム会社の業績格差はさらに広がる可能性が高い」との見方を示した。

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