Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、OpenAIを離れた背景の一つとして、サム・アルトマンCEOに対する不信感があったことを明らかにした。競争の行方は市場と世論が判断するとし、AIの安全を巡っては「誰が基準を作るのか」が要点だとの考えも示した。
米Business Insiderが17日(現地時間)に報じたところによると、アモデイ氏はBloombergのインタビューで、「私たちは私たちのやり方で進み、彼らは彼らのやり方で進めばいい」と述べた。OpenAIとの現在の関係についても、そうした距離感を受け入れているとの認識を示した。
OpenAIとの競争についても、アモデイ氏は過度に意識しない姿勢を見せた。「同じビジョンを持たず、信頼もしていない相手と、なぜ争わなければならないのか」と語ったという。
そのうえで、両社のアプローチが評価されるのは最終的に市場と世論だと指摘した。「市場でどちらが勝つのか、世論の評価でどちらが支持されるのかを見ることになる」と述べ、創業を巡る経緯そのものより、最終的な結果が重要だと強調した。
今回の発言は、2020年にアモデイ氏と妹のダニエラ・アモデイ氏、さらにOpenAIの社員9人が退社してAnthropicを設立した経緯が改めて注目される中で出た。最近のNew Yorkerの報道では、アルトマン氏が信頼できる人物かどうかを検証する内容が取り上げられ、アモデイ氏がOpenAI在籍時にアルトマン氏とのやり取りを記したメモも引用されたという。
一方、アルトマン氏も最近、Anthropicに不快感を示したことがある。4月のポッドキャストでは、一部の研究機関によるAIの終末論的な言説や、AnthropicによるOpenAIへの言及の仕方は有益ではなかったと述べた。両社の応酬が公の場にも表れている格好だ。
アモデイ氏は、AI企業間で協力が求められる安全問題についても、重要なのは協調そのものではなく、基準を誰が定めるかだと主張した。「信頼できる主体が集まって基準を作り、異なる立場の企業であってもその基準に従わざるを得ない状況を作る必要がある」と述べた。
また、業界の多数が適切な基準を守れば、他社もそこから逸脱しにくくなるとの見方を示した。
アモデイ氏は、すべてのAI企業が互いを不信しているわけではないとも強調した。例として、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEOとの関係を挙げ、「15年来の知り合いで、複数の問題に一緒に取り組んできた」と説明した。
さらに、AnthropicはGoogleから計算資源を調達しており、安全に関する考え方についても頻繁に意見交換していると述べた。業界内でも、信頼関係を築けている企業とそうでない企業があるとの認識を示した形だ。
アモデイ氏は、インドのAIサミットでアルトマン氏と並び、業界の結束を演出する場面に積極的ではなかったとされる件にも触れた。当時のイベントは非常に混乱していたとし、世界の要人が出席する他の会議でも運営が行き届かないことはあると語った。
ただ、この場面も両社の競争関係を象徴する一例として受け止められてきた。
今回のインタビューは、生成AIを巡る競争が技術力や製品性能だけでなく、経営陣の信頼関係や安全基準、業界連携のあり方にまで及んでいることを示した。AnthropicとOpenAIの対立は、市場シェア争いにとどまらず、どの企業がより信頼できるAI開発主体として見られるかという論点にも広がっている。