画像=Naverの開示資料より(AIファクトリー第1段階200MWの事業スキーム案)

Naverは8月3日、AIファクトリーの整備に向け、NVIDIAからGPUの供給を受けるとともに、Brookfield Asset Managementと特別目的会社(SPV)を活用した資金調達スキームを協議していると明らかにした。GPUやデータセンター設備を自社で全面的に保有せず、初期投資や借入負担を抑える狙いがある。

開示資料によると、事業はNaverが運営を担い、NVIDIAがGPUを供給し、Brookfieldが大規模なコンピューティングインフラ整備に向けた資金調達面で関与する枠組みを想定している。

対象となるのは、Naverが6月に公表した最終的に1GW級を目指すAIファクトリー構想のうち、第1段階に当たる200MW分だ。2028年までの整備を見込み、2027年上半期に55MW、同年末までに100MW、2028年に200MWへと拡大する計画。その後は最終的にGW級インフラへ拡張する方針だ。

最初の拠点には、Naverのハイパースケールデータセンター「GAK Sejong」を充てる。今後はアジア太平洋地域に加え、欧州や中東への展開も視野に入れる。

◆NVIDIAはGPU供給、Brookfieldとはインフラ資金を協議

Naverは先月27日に訂正開示を行い、NVIDIAの役割をより明確にした。6月8日時点の開示では、NVIDIAについてGPU供給に加え、グローバル顧客の開拓や売上・事業リスクの共同負担を担う主体として説明していたが、訂正開示ではこの記述を削除し、「GPU供給の主体」と位置付け直した。

NVIDIAは、約10億ドル(約1500億円)規模のNaverの第三者割当増資にも参加する予定だ。Naverは、資本関係の構築によってAIファクトリーに必要な最新GPUを安定的に確保し、今後の協業機会の拡大にもつなげたい考えだ。

AIデータセンターへの投資拡大を背景に先端GPUの確保競争が激しくなる中、GPUメーカーであるNVIDIAを株主に迎えることで、供給基盤を強化する狙いもある。一方のNVIDIAにとっても、NaverのAIコンピューティング事業の拡大を通じて、自社GPUのエコシステム拡大が見込める。

GPUやデータセンター設備の整備に必要な資金については、Brookfieldが調達する案を協議している。開示では、2028年までに必要となるコンピューティングインフラの規模を90億ドル(約1兆3500億円)としている。

具体的には、Brookfieldがプロジェクトファイナンス(PF)で資金を調達し、SPVを組成し、SPVがGPUやデータセンター設備を取得・保有し、Naverはそれを利用する形で契約を結ぶ枠組みを想定している。

NaverはAIファクトリーの運営会社を100%子会社として設け、AIコンピューティング事業を統括する。この運営会社がSPVの保有するコンピューティング資源の供給を受け、利用量などに応じた対価を支払う一方、外部の企業や機関に販売して収益化する仕組みだ。

こうした形を採ることで、事業初期に必要となる巨額の設備投資や直接借入の負担を抑えられるとしている。ただし、契約条件や資産の支配権、最低利用義務の有無などによっては、会計処理やNaverの実質負担額が変動する可能性がある。

Naverは、コンピューティング資源を安定的に確保する観点から、Brookfieldが組成するSPVの少数持ち分を取得する案も検討している。Brookfieldとの契約はまだ確定しておらず、同社を12週間の独占的優先交渉先に選定し、正式契約に向けた協議を進める。

なお、開示資料に示した90億ドルはNaverの直接投資額を示すものではなく、Brookfield側が整備を提案しているコンピューティングインフラ全体の規模を指す。Naverが実際に負担する投資額は未定としている。

具体的なスケジュールや各段階の投資規模についても、市場環境や協議の進展次第で変更となる可能性がある。

◆外部顧客の確保が課題、用地や許認可も変動要因に

Naverは、運営会社が確保したコンピューティング資源を外部の企業や機関に販売し、新たな収益源とする考えだ。ただ、現時点では具体的な顧客先や供給契約の規模は示していない。

事業リスクとしては、データセンター用地の確保、各国での許認可取得を巡る規制面の不確実性、電力インフラ整備の遅れ、世界的なAIインフラ需給の変動、契約交渉過程での条件見直しや日程遅延などを挙げた。これらは事業スケジュールや投資規模を左右する可能性がある。

Naverは、こうした要因が顕在化した場合には、段階ごとの日程や投資規模を調整して対応する方針だ。

今後、個別契約が確定し、開示基準額以上に該当する場合は、関連法令および開示規定に基づいて別途開示するとしている。

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