米イリノイ州が、暗号資産取引に0.2%の取引税を課す州法を導入する。J・B・プリツカー知事が2027年度予算の一部として「デジタル資産税法(Digital Asset Tax Act)」に署名し、施行日は2027年1月1日と定められた。業界団体は、全米でも例のない課税制度になりかねないとして反発を強めている。
ブロックチェーンメディアのDecryptが17日(現地時間)に報じた。
法案の柱は、ビットコインなどデジタル資産の移転や購入を含む取引に0.2%の税率を適用する点だ。対象は、イリノイ州内で物理的に行われる取引に限らず、主たる利用場所がイリノイ州にある個人の活動にも及ぶとしている。
税の徴収義務は、デジタル資産の仲介事業者が負う。イリノイ州内でサービスを提供する主要な暗号資産取引所が、実質的な徴収窓口になる見通しだ。
これに対し、暗号資産協議会(CCI)は知事宛ての書簡で、過重な負担を強いる制度だと批判した。施行されれば、デジタル資産関連の事業活動を行う顧客にまで課税する州はイリノイだけになる可能性があると主張している。
CCIはさらに、デジタル資産を利用するだけで州民に過度な負担を課す前例のない課税だと指摘した。イノベーションの停滞を招くだけでなく、開発者の州外流出につながる恐れがあると警告している。取引ベースの類似課税を導入した州が他にない点も問題視し、デジタル資産分野の誘致競争が激しくなる中で、イリノイ州が例外的な存在になるとの懸念を示した。
立法手続きにも批判が出ている。CCIは、直接影響を受ける利害関係者が立法過程で十分に意見を述べる機会を得られなかったと指摘。業界全体と利用者を対象にした新たな課税である以上、施行前に実質的な協議が必要だったとしている。
一方、イリノイ州の納税者権益団体Illinois Policy Instituteは、州議会がこの法案によって来年最大6000万ドル(約90億円)の税収を見込んでいると指摘した。州政府にとっては新たな税源確保策となるが、業界側は取引コストの上昇や州内サービスの縮小につながる可能性を重く見ている。
連邦レベルでも、今月初めに暗号資産課税を巡る法案7本が新たに提出された。内容には、マイニングやステーキングに関する課税基準の明確化や、小口取引に対する非課税基準の導入などが含まれる。ただ、これらの法案は提出直後、下院委員会の公聴会で反対意見に直面した。
イリノイ州の取引税導入は、暗号資産課税を巡る議論が、米国で連邦と州の双方に広がっていることを示す動きとなっている。