米ゲーム業界団体と部族団体が、上院で審議中のCLARITY法案に対し、スポーツおよびカジノ関連の予測市場を禁止する規定を盛り込むよう求めている。デジタル資産規制を巡る法案審議が、予測市場とスポーツベッティングの境界を巡る論争にも発展してきた格好だ。
Cointelegraphが17日付で報じたところによると、各団体は、商品先物取引委員会(CFTC)にスポーツベッティングを監督する権限はないことを、法案上で明確にすべきだと訴えている。
Semaforによれば、Indian Gaming Association(IGA)やAmerican Gaming Association(AGA)などの業界団体は、労働団体と連名で上院に意見書を提出した。デジタル資産市場の枠組みを定めるCLARITY法案の審議に合わせ、スポーツ関連のイベント契約が予測市場プラットフォーム経由で提供されないよう、適用範囲を明確化する必要があると主張している。
争点の中心にあるのは、予測市場プラットフォーム上のスポーツイベント契約を誰が規制するのかという点だ。CFTCは、マイケル・セリグ委員長の下で予測市場に対する「排他的管轄権」を主張してきた。実際、KalshiやPolymarketを巡っては、州レベルのゲーム規制当局による訴訟や取締措置に対し、CFTCがこれらプラットフォーム側を擁護してきたとされる。
これに対し、ゲーム業界側は、予測市場が事実上の新たな賭博拡大につながっているとみている。共同書簡では、「賭博政策を含む他の論点では立場が異なる可能性はあるが、過去18カ月の間に、予測市場が有権者の承認や立法措置を経ることなく、米国史上最大規模の賭博拡大を引き起こしたことへの懸念は共有している」と指摘した。
各団体はCFTCの役割そのものにも異議を唱えた。共同書簡では、「CFTCは商品およびデリバティブ市場を監督するために設立された機関であり、賭博やスポーツベッティングの監督を目的とした組織ではない」とした上で、「州政府と部族には既に強固な規制体制があり、CFTCは全米規模のスポーツベッティングを監督するための専門性とインフラの双方を欠いている」と主張している。
税収面の影響も新たな争点になっている。American Gaming Associationは、予測市場がスポーツイベント契約の提供を始めて以降、州のゲーム規制当局に入るはずだった税収が約10億8000万ドル(約1620億円)失われたと試算している。今回の立法論議で業界側が、規制権限の問題とあわせて財政面の損失も前面に押し出す背景だ。
CLARITY法案には、デジタル資産の規制・執行権限の一部を証券取引委員会(SEC)からCFTCへ移す内容が含まれる。法案は2025年7月に下院を通過したが、ステーブルコインの収益構造や倫理問題、トークン化株式を巡る懸念などから審議が遅れている。一部議員の間では、8月までに成立する可能性があるとの見方も出ている。
こうした中、連邦当局と州当局の対立はさらに強まる可能性がある。専門家や業界関係者の一部は、CFTCとセリグ委員長が、予測市場の取締りに動く州当局に対して訴訟も辞さない姿勢を示してきたとして、最終的には連邦最高裁の判断に委ねられる可能性があるとみている。
米連邦最高裁は2018年の「マーフィー対全米大学体育協会(NCAA)」判決で、各州がスポーツ賭博を規制する権限を認めた。一方で、KalshiとPolymarket、そしてCFTCは、予測市場プラットフォーム上のイベント契約は「スワップ」に当たるとして、自社サービスおよび商品はCFTCの管轄下にあると反論している。CLARITY法案の審議は、デジタル資産規制の再編にとどまらず、スポーツベッティングと予測市場の線引きを改めて問う議論へと広がっている。