Alibaba Cloudがフランスで初のデータセンターを稼働した。写真=Shutterstock

Alibaba Cloudはフランスで初のデータセンターを稼働し、欧州での運用拠点を3拠点に広げた。パリに新設した施設を通じて、欧州で高まるデータ主権ニーズと現地のクラウド需要に対応する。2026年下期には、欧州でエージェント型AIサービスの投入も進める方針だ。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が17日付で報じた。Alibaba Cloudはフランスでのデータセンター開設を発表し、同国でのインフラ拡充は現地顧客の需要増に対応する取り組みだと説明している。

新たなデータセンターはパリに設けた。Alibaba Cloudの欧州拠点は、ドイツ、英国に続いて3カ所目となる。

ペイペイ・リ氏(Alibaba Cloud最高技術責任者〈CTO〉兼国際事業部社長)は、今回のインフラ拡大について、欧州企業に主権性、セキュリティ、インテリジェントソリューションを提供する同社の継続的な取り組みを示すものだと述べた。

同社は2026年下期に、欧州全域でエージェント型AIサービスを順次投入する計画だ。これらのサービスは、AIエージェントの開発から導入、運用までを支援するもので、企業がAIシステムの構築、テスト、監視を進めやすくし、セキュリティやコンプライアンス要件への対応も後押しするとしている。

今回のフランス展開は、欧州で強まるデータ主権重視の流れとも重なる。欧州企業や規制当局は、国内または域内でデータを保管するクラウドサービスを重視する傾向を強めている。欧州委員会は6月3日、技術主権パッケージを公表し、EUをAI分野の「グローバルリーダー」に育成するとともに、「デジタル独立性」を守る目標を打ち出した。クラウド・AI関連の法案では、データセンターの受け入れ能力不足がデジタル転換の主要な脅威の1つだと指摘した。

Alibaba Cloudは今回のフランス拠点開設を、より大きな海外展開拡大策の一環に位置付けている。エディ・ウー・ヨンミン氏(Alibaba最高経営責任者〈CEO〉)は2025年9月、杭州で開かれた「Apsara Conference」で、同社として過去最大規模の海外AIインフラ投資を発表した。計画には、ブラジル、フランス、オランダでの新たなクラウドリージョン開設に加え、メキシコ、日本、韓国、マレーシア、ドバイでの設備拡張が含まれる。

もっとも、欧州市場でのAlibaba Cloudの存在感はなお限定的だ。Synergy Research Groupによると、欧州のクラウドインフラ売上高の約70%をAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudが占める。欧州の事業者全体のシェアは15%程度にとどまるという。Alibaba Cloudは世界のクラウド市場で売上高4位だが、欧州では米大手が主導する市場で開拓を進める局面にある。

Alibaba Cloudは2016年、フランクフルトに最初のデータセンターを開設し、欧州事業を始めた。足元では現地での認知度向上にも力を入れている。5月には欧州サッカー連盟(UEFA)と6年契約を結び、UEFAチャンピオンズリーグとEURO 2028のスポンサーを務める方針を示した。

クラウドとAIは、Alibabaの成長を支える事業として存在感を高めている。クラウド・インテリジェンス・グループの2026年1〜3月期売上高は416億元で、前年同期比38%増だった。AI関連製品は外部クラウド売上高の約30%を占め、11四半期連続で3桁成長を維持した。Alibabaは今後3年間で、AIとクラウドインフラに少なくとも3800億元を投じる方針も明らかにしている。

フランスでのデータセンター稼働は、欧州の規制環境の変化に対応すると同時に、現地企業のAI需要を見据えた先行投資ともいえる。欧州で現地インフラとAIサービスを一体で拡大できるかが、今後の焦点となりそうだ。

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