画像=Reve AI

SpaceXの上場を受け、前・現職社員が保有する株式報酬の価値が大きく膨らみ、資産管理会社による顧客獲得競争が過熱している。上場で多額の流動性を手にする社員が増えるとの見方から、ウォール街を含む金融業界が営業を強めている。

米Business Insiderが15日(現地時間)に報じたところによると、SpaceX出身で、米ロサンゼルスのソフトウェア企業Revelを率いるスコット・モートン氏は、複数の資産管理会社から勧誘を受けているという。モートン氏は「手書きの手紙から記念品、LinkedInのメッセージまで、さまざまな形で連絡が来る」と明かした。

同氏によれば、大手資産管理会社が自宅に直接手紙を送り、資産運用を提案したケースもあれば、別の会社からバッグなどの販促品が届いたこともあった。LinkedInを通じた個別メッセージでの接触も続いているという。

こうした動きの背景には、モートン氏がSpaceXに約10年間在籍し、多額の株式報酬を受け取っていたことがある。SpaceXの企業価値は上場により、2兆ドルを超えた。これに伴い、ストックオプションや株式報酬を保有する前・現職社員の資産価値も大幅に上昇した。

モートン氏は上場直前のインタビューで、「エンジニアや技術者だけでなく、バリスタも含めて、会社の成長の果実を分かち合うことになる」と説明し、「長年会社に貢献してきた多くの人が報われる」と話していた。

SpaceXは、シリコンバレーでも株式報酬の比率が高い企業として知られる。今回の上場は、社員が保有株を本格的に換金できる初の大きな機会になったとの見方もある。モートン氏はインターンとして入社し、Starshipプロジェクトでソフトウェアエンジニアリング・マネジャーまで務めた。現在は、ハードウェアの制御や試験向けソフトウェアを手がけるスタートアップ、Revelを経営している。

Revelは、ロケットエンジンの試験設備や原子炉、産業オートメーション設備などを対象に、物理システム向けソフトウェアを開発している。2月のシリーズBラウンドでは、1億5000万ドル(約225億円)を調達した。

市場では、今回の上場が社員の資産増にとどまらず、新たな起業エコシステムを生む契機になるとの見方も出ている。モートン氏は、SpaceX出身者が資金、経験、人脈を背景に起業へ踏み出す事例が増えていると説明。「すでにそうした流れは始まっている。『SpaceXマフィア』は、もう存在している」と述べた。

これは、かつてPayPal出身の起業家らが形成した「PayPal Mafia」に似た現象とみられている。PayPal出身者はその後、Tesla、Palantir、YouTube、LinkedInなど多くの企業の立ち上げに関わり、シリコンバレーのエコシステムに大きな影響を与えた。

一方、上場がただちに大規模な人材流出につながる可能性は低いとの見方もある。モートン氏によると、連絡を取り合っている現職社員の多くは、いまも同社の長期ビジョンに強く引かれているという。火星探査や月面基地建設といった長期目標へのコミットメントが強く、「上場で経済的な余裕が生まれても、全員が会社を去るわけではない」と話した。

その半面、初期の社員や退職者にとっては、新たな選択肢が広がる可能性がある。モートン氏は、一部の元社員が確保した資金をもとに起業や投資に動く可能性は高いとみている。「上場は人々に経済的自由を与える。新たな挑戦に踏み出すためのセーフティーネットになる」と語った。

市場では、SpaceXの上場で社員の手元に渡る資金が、次世代の宇宙、防衛、ロボティクス、エネルギー関連スタートアップへの投資につながる可能性にも注目が集まっている。とりわけ、SpaceX出身の創業者が立ち上げたハードテック系スタートアップは、上場後に投資家の関心を集めやすく、資金調達面でも追い風になるとの見方が出ている。

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