写真=Strategy

Strategyのビットコイン保有を巡り、市場で浮上していた「強制的な売却」への懸念に対し、米証券2社が否定的な見方を示した。BenchmarkとTD Cowenは、優先株による資金調達スキームを踏まえても、短期的に大規模売却に追い込まれる可能性は低いと判断し、投資判断をいずれも「買い」で据え置いた。

Coinpostが16日付で報じた内容によると、両社は同日公表したリポートで、Strategyが保有するビットコインを強制的に処分せざるを得なくなるとの市場観測は行き過ぎだと指摘した。

発端となったのは、Strategyの優先株を活用した資金調達が、ビットコイン急落時の売り圧力につながるのではないかとの見方だ。Fortuneは9日、この資金調達構造が潜在的なリスク要因になり得ると報じ、その後、同社が大量のビットコイン売却を迫られるとの観測が広がっていた。

これに対し、Benchmarkのマーク・パーマー氏は、こうした見方は実態を単純化しすぎていると反論した。強制売却シナリオは、短期的な悪材料だけで保有ビットコインの売却に至ることを前提としているが、実際にはその間に複数の段階があると説明した。

パーマー氏は、Strategyがビットコイン売却を検討する前に、優先株配当の支払い原資として確保している約10億ドル(約1500億円)の現金同等物を活用できると指摘した。あわせて、主力の資金調達手段である永久優先株「STRC」には満期がなく、短期的な償還圧力が生じにくい点も強調した。

そのうえで、約550億ドル相当とされるStrategyのビットコイン準備資産が実際に売却対象となるには、単なる価格下落ではなく、複数の悪条件が重なる必要があると分析した。

TD Cowenもおおむね同様の見方を示した。ランス・ビタンザ氏とジョナサン・ナバレテ氏は、STRCの配当負担はStrategyの手元資金を踏まえれば十分に吸収可能な水準だと評価した。一方で、ビットコイントレジャリー戦略を長期的に維持するには、ビットコイン価格が少なくとも緩やかな上昇基調を保つ必要があるとの条件も示した。

TD CowenはSTRC自体の投資特性にも言及した。リポートでは、STRCは下落局面で値動きの大きさを抑え、ビットコイン急落時でもプラス圏、もしくは横ばいに近いリターンを示してきたと分析。価格変動の大きいビットコインとは異なり、資産保全と安定収入の確保を重視する投資家に適した商品と評価した。

市場の警戒感を強めた一因として、Strategyが最近実施したビットコイン売却もある。同社は5月26日から31日にかけて計32BTCを約250万ドルで売却した。2022年以降では初の売却で、売却代金はSTRCの配当支払いに充てた。平均売却価格は1BTC当たり7万7135ドルだった。

この売却について、ポン・ルーCEOは11日のCNBCとのインタビューで、「必要であればビットコインを売却できることを市場に示すための措置だった」と説明した。

もっとも、同社の基本戦略は引き続きビットコインの積み増しにある。Strategyは16日、前週に1587BTCを約1億ドルで追加購入したと発表した。これにより総保有量は84万6842BTCとなった。6月第1週にも1550BTCを買い増しており、ルーCEOは「今月に入って純購入ベースで約1500BTCを積み増した」と述べた。

ビットコイン相場は、こうした売却懸念とは別に持ち直した。6日には5万9000ドル台まで下落したが、16日の取引時間中には6万7000ドル台を回復した。

市場では今後、Strategyの優先株配当の仕組みがビットコイン保有戦略の重荷となるのか、それとも限定的な資金調達手段にとどまるのかが引き続き焦点となる。

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