韓国の主要ゲーム各社が、配当新設や自社株消却の拡大など株主還元策を相次いで打ち出している。KOSPIがこの1年で大きく上昇し、過去最高圏で推移する一方、ゲーム株は相対的な出遅れが目立っており、各社は株価てこ入れを急いでいる。
◆初配当や中期還元方針の公表が相次ぐ
これまで配当を実施してこなかった企業が、今年に入り初めて株主還元に踏み切る動きが目立っている。昨年はKrafton、NEOWIZ、Wemadeが現金配当を見送ったが、今年はそれぞれ996億ウォン、60億ウォン、100億ウォンを配当した。Netmarbleは718億ウォン、NCSOFTは223億ウォン、Webzenは203億ウォン、NHNは154億ウォン、Com2uSは149億ウォンをそれぞれ配当した。
単発の配当にとどまらず、中長期の株主還元方針を明確にする動きも広がっている。Kraftonは2028年までの3年間で、現金配当3000億ウォンと自社株の取得・消却7000億ウォン以上を合わせ、総額1兆ウォン以上の株主還元を進める方針を示した。Netmarbleも、保有する自社株4.7%の全量消却に加え、2028年までに株主還元率を最大40%へ引き上げる計画を明らかにした。
Pearl Abyssは創業以来初となる現金配当を導入した。「紅い砂漠」のヒットを追い風に、2026年1〜3月期は売上高3285億ウォン、営業利益2121億ウォン、当期純利益1700億ウォンを計上。これを背景に還元余力を確保した。年間100億ウォンと当期純利益の10%を比較し、いずれか大きい金額を毎年配当するほか、保有する自社株280万3945株のうち140万3945株(約540億ウォン相当)を12日に消却する。下期には1000億ウォン規模の追加自社株買いも予定している。
Webzenの還元規模は業界でも異例の水準とみられている。3月に203億ウォンの配当を実施し、配当利回りは5.1%だった。5月には流通株式の10.5%に当たる363万株(529億ウォン規模)を消却。10日には100億ウォン規模の追加自社株買い計画も開示した。年内に予定する165億ウォンの追加特別配当まで含めると、2026年の株主還元総額は約1000億ウォンとなり、現在の時価総額の約31%に達する。
Wemadeは、現金配当100億ウォンまたは連結営業利益の20%のいずれか大きい額を配当する業績連動型の方針を導入した。NEOWIZは2025〜2027年の3年間、連結営業利益の20%を株主還元財源に充てる一方、業績変動にかかわらず年100億ウォン(自社株消却50億ウォン、現金配当50億ウォン)を最低保証する方針を1月に公表した。Shift Upは今年、200億ウォン規模の新規自社株買いに加え、既保有分を含む計65万株を年内に消却する。Com2uSは149億ウォンの配当に加え、582億ウォン規模の自社株を消却する。Mgameも43億ウォンの配当とあわせて20億ウォン規模の自社株を取得し、全量を消却する計画だ。
◆株価低迷に株主圧力も重なる
こうした動きの直接的な背景には、ゲーム株の長期低迷がある。KOSPIは今月2日に過去最高値を付け、15日時点でも高値圏で推移している。一方、KraftonやNetmarbleなど主要ゲーム会社の多くは、同じ期間に株価が横ばい、あるいは下落した。新型コロナ禍による特需の一巡後、新作ヒットの不確実性や中国市場の規制、人件費の上昇が重荷となったためだ。
株価低迷が長引く中、DevSistersやWemadeでは少数株主が自社株消却や株価対策を求める動きを強めた。政府の企業バリューアップ政策や、自社株制度の見直しを巡る議論も、消却拡大の流れを後押しした要因として挙げられる。
ゲーム会社は従業員報酬の手段としてストックオプションを積極的に活用してきた経緯がある。このため、株価が上がらなければ報酬制度そのものの実効性が薄れかねず、株主還元の強化を急ぐ一因になったとの見方もある。株主還元の拡大には、外部投資家への対応だけでなく、従業員の報酬価値を守る狙いもあるという。
業界では、今回の株主還元拡大が一時的な対応にとどまらず、安定した政策として定着するかが今後の焦点になるとみている。ゲーム業界は新作のヒットの有無によって業績変動が大きいため、継続的な株主還元には安定したキャッシュフローが欠かせないとの指摘が出ている。
業界関係者は「今年、配当新設と自社株消却が広がったのは明確な変化だ。ただ、新作の成否で業績が大きく振れるゲーム業界の特性を踏まえると、中長期政策として制度化できるかが、ゲーム株再評価の本当の試金石になる」と話した。