中国当局が越境オンライン証券への規制を強化したことで、海外株投資に向かっていた資金の一部がUSDTなどのステーブルコインに流れる可能性が市場で意識されている。中国証券監督管理委員会(CSRC)は、Tiger Brokers、Futu Holdings、Longbridgeの中国本土向け業務について、2年をかけて整理する方針を示した。
BeInCryptoの22日付報道によると、CSRCはこれら3社が中国国内の認可を受けないまま、本土の顧客に株式売買の受託、公募ファンドの販売、先物仲介サービスを提供していたとして、制裁手続きに着手した。
対象はTiger Brokers(NZ)Limited、Futu Securities International(Hong Kong)Limited、Longbridge Securities(Hong Kong)Limited。CSRCは、証券法や証券投資基金法、先物・デリバティブ関連法令に違反したと判断した。関連業務に関与した国内外法人の違法収益は没収の対象となり、最終処分に先立って聴聞が行われる可能性もある。
既存の本土利用者は整理期間中、保有資産の売却と出金のみ認められる。一方、新規入金と新規買い付けは即時停止となった。整理期間終了後は、各プラットフォームが中国利用者向けに運営しているサイトやアプリ、サーバーの停止も求められる。QDII(適格国内機関投資家)やクロスボーダー資産管理連携、香港株コネクトは継続対象とされた。
中国の個人投資家には年間5万ドルの外貨購入枠があり、資金を海外に移す合法的な手段は限られている。このため、既存口座に滞留する資金の一部がOTCデスクやP2P取引に向かうとの見方が出ている。なかでもUSDTは、有力な受け皿の一つとして注目されている。
もっとも、暗号資産が安全な代替ルートになるとは限らない。中国人民銀行とCSRCは2月、ステーブルコインやトークン化関連の活動まで規制対象を広げ、中国居住者向けにサービスを提供する海外発行体も射程に入れた。USDTやオンチェーン型の米国株関連商品に資金が大きく流れれば、同様に監視が強まる可能性がある。報道を受け、FutuとTiger Brokersの株価はそれぞれ123.84ドル、5.84ドルで推移した。
今回の措置は、中国本土マネーのオフショア投資ルートが改めて狭まったことを示す。同時に、既存の証券プラットフォームが閉ざされた場合、USDTなどのステーブルコインが迂回需要を吸収し得ることも浮き彫りにした。伝統的な金融規制とデジタル資産への資金流入が交差する局面が、改めて鮮明になっている。