Naverの2026年1〜3月期は、売上高が前年同期比16.3%増となった一方、営業利益の伸びは同7.2%増にとどまった。AIインフラへの先行投資やコンテンツ関連費用が利益を圧迫し、営業利益率は16.7%まで低下した。会社側は2026年下期からAI広告の収益化を本格化する方針で、計画通り立ち上がるかが年内の採算回復を左右しそうだ。
Naverによると、2026年1〜3月期の営業利益率は16.7%で、前四半期の19.1%から低下した。費用増の主因は大きく3つある。
1つ目はインフラ費用だ。GPUなど新たなコンピューティング資産の積み増しにより、インフラ費用は前年同期比32.5%増えた。
2つ目はパートナー費の増加である。冬季五輪と「League of Legends Champions Korea」の中継権費用に加え、Npay Connectのオフライン端末拡大も重なり、パートナー費は同19.9%増となった。中継権関連費用は1〜3月期だけで約180億ウォン(約20億円)を計上した。
3つ目はマーケティング費だ。ショッピング事業の販促強化に加え、PoshmarkとWebtoonのプロモーション費用が膨らみ、同18.9%増えた。プラットフォーム部門の利益率が前年同期比で5.4ポイント低下した背景には、これらの費用が同時に乗ったことがある。
チェ・スヨン代表は4月30日の決算説明会で、「生成AIの普及により、汎用的な公開データの差別化余地は徐々に薄れている一方、収集や複製が難しい独自データの戦略的価値は急速に高まっている」と述べた。GPUの確保に加え、オフライン取引データを蓄積・学習させたレコメンドモデルによって、広告ターゲティングの精度やコンバージョン率を高め、将来的な収益化につなげる考えだ。
実際、決済インフラとの連携の有無によって、広告のコンバージョン率に約2倍の差が出ることを自社データで確認したという。経営陣は、足元の費用増は将来の収益化に向けた先行投資との説明を一貫して示している。
◆効率化も同時進行、GPU実使用量は想定比30%削減
キム・ヒチョル最高財務責任者(CFO)は、費用が一方的に膨らむ構造ではないと強調した。「GPUの戦略的配分と全社共通の効率化プラットフォームの導入により、GPUの実使用量を想定比で約30%削減するなど、すでに効果を確認している」と説明。その上で、「AI収益化の寄与と市場環境を踏まえ、投資規模は慎重に見極めていく」と述べた。投資拡大の基本方針は維持しつつ、収益化の進捗に応じて投資ペースを調整する余地をにじませた格好だ。
収益化の工程も四半期ごとに具体化している。5月にはショッピングAIエージェントを、会員特典と配送管理を組み合わせたビジネスエージェントへと進化させる。2〜4月期にはショッピングやローカルと連動する生成AI広告のテストを始め、CriteoやGoogleとの外部媒体連携も進める。下期にはAIブリーフィング広告の本格的な売上寄与を見込む。
チェ代表は「情報系クエリから段階的に導入し、既存の検索広告とのカニバリゼーションを最小限に抑えながら、トラフィック当たりの収益性も引き上げていく」と述べた。10〜12月期にはAIタブの収益化も目指す。
◆先行投資を成長につなげられるか
今回の決算説明会では、増加した費用を今後の業績拡大に結び付けられるかも主要な論点となった。キムCFOは、2〜4月期以降もコマース分野でのマーケティング強化を続ける方針を示し、投資が取扱高の拡大を通じて売上成長につながるとの見方を示した。
配送分野では、すでに一部で効果も表れている。N配送を導入した販売者の取扱高増加率は、未導入の販売者に比べて4ポイント高かった。会員向け配送特典の強化後には、会員の注文頻度も25%以上増えた。1〜3月期のスマートストア取扱高が前年同期比14%増となり、通期の2桁成長目標に向けて順調な滑り出しとなったことも、その流れに沿うものだ。
Naverの利益率回復は、3つの条件がかみ合うかどうかにかかっている。AI広告の収益化が計画した四半期内に売上として立ち上がること、インフラ費用の増加が上期をピークに鈍化すること、そしてコマースや配送への投資が取扱高の拡大につながり、サービス売上高の成長率を維持できることだ。
1〜3月期が先行投資を積み上げた局面だとすれば、7〜9月期と10〜12月期は、その投資が収益として表れ始める局面でなければならない。下期の業績は、この3条件が機能するかを見極める最初の試金石となる。