Starlinkの衛星インターネットサービス。写真=Teslarati

SpaceXの収益を支えているのは再使用ロケットではなく、衛星インターネットサービス「Starlink」――。同社の上場申請書類から、通信サービス事業が売上高と利益の中核を担っている実態が明らかになった。ロケット事業は赤字で、今後はStarlink事業の持続性が投資判断の焦点になりそうだ。

米CNBCが21日(現地時間)に報じたところによると、SpaceXは上場申請書類で、前年の連結売上高の61%をStarlinkなどの通信サービス事業が占めたと開示した。2026年1〜3月期には、この比率が69%に拡大したという。

Starlinkの前年売上高は113億9000万ドルで、SpaceXの最大事業に成長した。収益性でも他事業を上回った。

通信サービス部門は前年、44億2000万ドルの黒字を計上した。一方、NASAや米国防総省との契約を含むロケット打ち上げ事業は6億5700万ドルの赤字だった。AI事業の赤字も63億5000万ドルに達した。

今回の開示を受け、市場ではSpaceXの実質的なキャッシュ創出源は宇宙打ち上げ事業ではなくStarlinkだとの見方が強まっている。

Starlinkは、低軌道衛星約1万200基を基盤に世界各地でインターネット接続サービスを提供している。2019年の初回打ち上げ以降、提供地域は160カ国超に広がった。2026年1〜3月期の利用者数は1030万人と、1年前の2倍超に増えた。

航空業界での採用も進む。United Airlines、Southwest Airlines、Hawaiian Airlinesは機内インターネットにStarlinkを採用した。イーロン・マスクCEOも2025年12月、Starlinkの商用サービスについて「会社の売上に圧倒的に最も大きく貢献している」と述べている。

SpaceXはStarlinkで得た資金を、AI事業と宇宙データセンター事業の拡大に振り向けている。2026年1〜3月期の設備投資は101億ドルと前年同期の2倍超に膨らみ、このうち77億ドルをAI事業に充てた。

同社は上場申請書類で、「2028年から宇宙ベースのデータセンターを配備できると見込む」と説明した。また、「AI計算向け衛星の開発で最も難しい部分はすでに解決した」と主張した。

一方で、同書類はStarlinkへの依存度が高まるほど、規制面や運用面のリスクも大きくなることを示している。SpaceXは、Starlinkの事業拡大が各国規制当局による衛星配備の承認や周波数利用の許認可に左右されると説明した。

そのうえで同社は、「認可の更新や拡大申請が適時に承認される保証はなく、追加条件なしで認められるとも限らない」と記した。

実際、規制問題は一部の国ですでに表面化している。ナミビアは今年3月、現地資本規制を理由にStarlinkの事業許可を拒否した。台湾も、現地合弁の要求をSpaceXが受け入れなかったため、Starlinkの導入対象から外した。

南アフリカでも、外資系通信事業者の出資規制を巡る議論が続いている。

地政学リスクもある。Starlinkはウクライナ戦争を巡り、軍事利用やサービス統制の問題でたびたび議論の的になってきた。SpaceXは今年、ロシアが長距離ドローン攻撃にStarlinkを無断利用できないよう遮断措置を講じたと明らかにした。

同社は軍向け衛星通信サービス「Starshield」も別途運用している。

競争環境も厳しさを増している。Eutelsat傘下のOneWebはすでに600基超の衛星を運用しており、Amazonもこの1年で300基超の衛星を打ち上げ、低軌道衛星インターネット市場への参入準備を進めている。

ジェフ・ベゾス氏のBlue Originも、2027年末から約5400基規模の衛星網構築を進める計画だ。中国も大規模衛星群プロジェクトを拡大している。SpaceXは上場申請書類で、Amazon、Blue Origin、Viasat、AT&T、T-Mobileなど20社超をStarlinkの競合先に挙げた。

宇宙環境を巡る負担も重い。Starlink衛星は静止軌道衛星より寿命が短く、3〜5年ごとに継続的な更新打ち上げが必要になる。SpaceXは、宇宙環境は「本質的に敵対的」であり、軌道環境が衛星の誤作動や故障を引き起こし得ると説明した。

とりわけ、米連邦通信委員会(FCC)に最大100万基規模の低軌道衛星打ち上げを申請した計画を巡っては、宇宙ごみや「ケスラーシンドローム」への懸念が出ている。市民団体DarkSkyは、この計画によって夜空の衛星数が現在の約70倍に増える可能性があるとして、環境評価の必要性を訴えた。

SpaceXの上場を巡っては、ロケット技術や将来構想以上に、足元で収益を生むStarlinkの持続性が投資の見極めポイントになりつつある。各国の許認可、安全保障を巡る論争、衛星更新コスト、宇宙環境規制が、Starlinkの成長速度を左右する主要な変数となりそうだ。

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