SpaceXが米証券取引委員会(SEC)に提出したS-1で、Tesla製品を総額8億ドル超購入していたことが明らかになった。内訳はエネルギー貯蔵システム「Megapack」が約6億9700万ドル、電気自動車「Cybertruck」が約1億3100万ドル。イーロン・マスク氏が率いる企業群の間で、相応の規模の取引が行われていた実態が浮き彫りになった。
米Business Insiderが21日(現地時間)に報じた。S-1によると、SpaceXは2024年から2025年にかけてTeslaのMegapackを約6億9700万ドル購入した。さらに2025年にはCybertruckを約1億3100万ドル分購入したという。
取引は2026年に入ってからも続いている。SpaceXは2026年1〜3月期にもMegapackを約3400万ドル分追加購入しており、これらの取引はいずれも「関連当事者取引」として開示された。
今回の開示で注目されるのは、単なる製品購入にとどまらない点だ。S-1にはTesla製品の購入に加え、音声アシスタント機能での協業や、共同利用を想定したチップ工場計画、TeslaによるX(旧Twitter)への広告出稿など、複数の協力関係も盛り込まれた。
SpaceXはS-1で、Teslaとは「限定的ながら成功した商業協業」を進めてきたと説明。そのうえで、強固で建設的なパートナーシップに向けた初期基盤を築いたとしている。
市場の関心は取引額だけでなく、その条件にも向かっている。Morningstarのアナリスト、セス・ゴールドスタイン氏は、エネルギー貯蔵装置や車両の大量購入自体は運用面で合理的になり得ると指摘し、「SpaceXが実運用に必要な製品をTeslaから購入したのであれば、それ自体は不自然ではない」と述べた。
一方、Cybertruckの購入条件は投資家の関心を集める可能性がある。SpaceXはS-1で、Cybertruckを「メーカー希望小売価格(MSRP)」ベースで購入したと開示した。ゴールドスタイン氏は、企業による大量購入では割引が適用されるケースも多いとして、「定価ベースでの購入」という記載自体が投資家の目を引き得るとみている。
この開示は、SpaceXが実際にどの程度のCybertruckを導入したのかを推計する手掛かりにもなる。車両のグレードは明らかにしていないが、現在の販売価格を基に試算すると、購入台数は約1183〜1813台とみられる。
この規模の意味も小さくない。Kelley Blue Bookの集計によれば、Teslaの2025年のCybertruck販売台数は2万237台だった。この数字を基にすると、SpaceXによる購入分は同年販売台数の約6〜9%を占めた可能性がある。
市場では今回の開示を受け、マスク氏の関連企業間取引が単なる協業の枠を超え、売上高や業績に影響し得ることを示したとの見方も出ている。とりわけSpaceXによるMegapackとCybertruckの大量購入は、Teslaの蓄電事業の成長性やCybertruckの販売実績を評価するうえで、無視できない材料となりそうだ。