SynFuturesが、許可不要型の上場・取引モデルを前面に打ち出し、ブロックチェーンベースの分散型デリバティブ市場で差別化を図っている。中央集権型取引所(CEX)やHyperliquidなどの先行プレーヤーがいる中、独自メインネットによる処理速度とユーザー体験の向上を競争力に据える考えだ。
SynFuturesの共同創業者であるMark Lee氏は、「SynFuturesは最もオープンで分散型のプラットフォームを提供する」と述べ、「この特性が市場での差別化要因になる」と強調した。
Lee氏によると、SynFuturesは中央集権型取引所と異なり、誰でもトークンを上場し、取引できる仕組みを採る。ユーザー自身が、どの資産をいつ、どのように取引するかを決められる設計だという。
同氏は、最大の強みとして許可不要型の分散型金融である点を挙げた。今後は実物資産連動型のRWAに加え、K-POPのようなIPも上場対象になり得るとの見方を示した。収集品や知的財産権のトークン化が進み、その流れをDeFiが主導していくとみている。
分散型デリバティブ市場には、すでにHyperliquidなど複数のプレーヤーが参入している。さらに、Binance、Coinbase、Krakenといった大手CEXもデリバティブ領域を強化している。
Lee氏は「HyperliquidはDeFiを主流化した成功例だ」と評価したうえで、「SynFuturesは許可不要の構造を基盤に、CEXに近い取引体験の提供に注力している」と説明した。Ethereumのレイヤー2を活用しながら独自メインネットを構築し、プラットフォームを移行するのも、その一環だとしている。
一方で、許可不要型や分散型の仕組みは、安全策が不十分であれば悪意ある参加者を呼び込みかねない。とりわけ取引プラットフォームでは、その懸念が大きい。これに対しLee氏は、分散型であっても最低限の安全装置は必要だと述べた。
同氏は「上場を無制限に認めるわけではない」とし、上場に当たっては最低1万ドルの流動性確保を求める方針を示した。取引が活発になれば、ユーザーは手数料収入を得られるという。加えて、信頼できるパートナー経由でオラクルを利用し、適切な水準の手数料を設定するとした。
SynFuturesは、オーダーブックとAMM(自動マーケットメイカー)を組み合わせたハイブリッド型の仕組みを採用する。Lee氏は「AMMはスケールしにくい半面、新規トークンのように流動性が乏しい市場には向く。オーダーブックは流動性の厚い市場で有効だが、マーケットメイカーが必要になる」と説明した。新しい取引ペアのように需要が限られる市場では、AMMの方が適しているとの考えだ。
UX面では、CEX並みの使い勝手を目指す。ただ、これを分散型サービスとして実現するのは容易ではない。
Lee氏は「UXとUIは分けて考える必要がある」と述べた。分散型プラットフォームはCEXに比べ、取引コストが高く、処理速度が落ちる場合があるものの、用途特化型のメインネットによって相当部分を改善できるとみる。オンチェーンではワンクリック取引の実装が容易ではないが、独自ブロックチェーンであれば対応可能で、メインネットを通じてUXを引き上げられるという。
UI面では、抽象化によって複雑さを隠す方針だ。Lee氏は「ユーザーはブロックチェーンを意識する必要がない。ウォレットを作成しなくても、メールで登録できる」と述べ、抽象化によってDeFi取引のハードルを下げられるとした。
もっとも、メインネットで効率性を高めれば、SynFuturesが差別化要因とする分散性が弱まる可能性もある。これについてLee氏は「UIを改善していくと、一部で中央集権化の要素が入ることはある」と認めつつ、「トークンガバナンスはユーザーが決める構造だ」と説明した。トークン保有者の投票を通じてガバナンスを実装し、全体としては分散型の方向を目指すとしている。
同氏は、ユーザーにとって最も重要な分散性は資産保護にあると指摘し、セルフカストディを挙げた。スマートコントラクトベースのDeFiでは、取引所がユーザー資金を直接扱えないとし、加えて重要なのは透明性であり、ユーザーが監視できる状態である必要があると述べた。
SynFuturesのメインネットは、取引速度の向上を重視して設計する。Lee氏は、今後のブロックチェーン市場について、特定用途に最適化した複数のレイヤー1が併存する形になるとの見方を示した。以前は少数のレイヤー1が主導すると考えていたが、現在は見方が変わったという。
同氏は「目的に合ったレイヤー1がそれぞれ成長していく。ユーザーにとって悪いことではない」と話した。UIとUXが改善され、レイヤー1同士を柔軟につなげられるようになれば、ユーザーは複数チェーンをまたいで取引したことすら意識しなくなるとみている。
SynFuturesは、この独自メインネットを自社サービス専用にせず、エコシステムとして拡大していく方針だ。分散型基盤の無期限先物取引所を立ち上げたい事業者が、SynFuturesのメインネットを活用して、時間とコストを抑えながらサービスを構築できるようにする狙いがある。
Lee氏は「SynFuturesのAPIを通じて、分散型の無期限先物取引プラットフォームを容易に構築し、運営できる」と述べ、今後は関連パートナーを増やしていく考えを示した。
SynFuturesが重点市場として見据えるのは、インフラの整った先進国よりも新興国だ。Lee氏は「市場アクセスが限られる地域や国を優先している」とし、こうした地域では株式だけでなく暗号資産も容易に購入できないと指摘した。まずはこれらの市場の開拓に集中するという。
現在、SynFuturesは米国からは利用できない。ただ、Lee氏は、米商品先物取引委員会(CFTC)がDeFiに前向きな姿勢を示しているとして、「米国でも機会が開ける可能性がある」と期待を示した。