Mercedes-AMG GT 4ドアクーペ。超急速充電性能に加え、高出力充電インフラへの対応も焦点となる。写真=Mercedes-Benz

Mercedes-AMG GT 4ドアクーペが、米国で販売される電気自動車(EV)の中でも最速級となる充電性能を打ち出した。10〜80%の充電時間は11分。もっとも、この数値は600kW級のDC急速充電器の利用が前提で、車両性能だけでなく充電インフラの整備状況も課題として浮かび上がっている。

EV専門メディアのInsideEVsは21日(現地時間)、Mercedes-AMG GT 4ドアクーペが600kW級のDC急速充電器を使用した場合、バッテリー残量10%から80%までを11分で充電できると報じた。

この水準は、現在米国で販売されているEVの中でも最速クラスに入る。主要EVの10〜80%充電時間は、おおむね10分台後半から20分台前半に集中している。

比較対象としては、Volvo EX60が約16分、Porsche Taycanが18分、BMW iX3が21分、Hyundai IONIQ 5が約20分前後とされる。Mercedes-AMG GT 4ドアクーペは、これらを上回る充電性能を示した格好だ。

その背景にあるのが、800Vバッテリーアーキテクチャだ。高電圧を前提とする設計により超急速充電を可能にするもので、高性能EV市場では採用が広がっている。

ただ、Mercedesが示した11分という数値は、車両性能だけで実現できるものではない。同社は、600kW級のEV向けDC急速充電器への接続を前提とした値だと説明している。

米国で一般ユーザーが利用できる急速充電器の多くは、出力が250〜400kW級にとどまる。600kW級の充電インフラはなお限定的で、実際の利用環境では公表値どおりの性能を引き出せない可能性がある。

業界では今回の事例について、車両技術の進化が充電インフラを先行し始めたことを示すケースだとの見方も出ている。米国ではTeslaが500kW級のSupercharger V4の拡大を進めており、中国はメガワット級の充電網整備で先行しているとの評価もある。

一方で、実使用では充電時間だけでなく、どれだけの航続距離を効率よく回復できるかも重要になる。Lucid Gravityは約400kWの充電環境で23分の10〜80%充電が可能で、米環境保護庁(EPA)基準で約450マイルの航続距離を提供するとされる。

同じ充電時間でも、バッテリー容量や電費性能によって実際の使い勝手は変わるということだ。

Tesla Model Yとの比較にも関心が集まっている。Model Yの10〜80%充電時間は約27分とされ、Mercedes-AMG GT 4ドアクーペは充電速度の面で大衆向けEVを大きく上回る可能性がある。

市場では今回の発表を、米EV市場の競争軸が航続距離中心から充電速度重視へ移りつつある兆候と受け止めている。世界的にEV市場の成長鈍化や投資縮小が指摘される中でも、自動車メーカー各社が超急速充電技術の開発競争を続けている点も注目される。

今後の焦点は、車両スペックの優劣そのものよりも、600kW級の超高速充電インフラがどこまで早く普及するかに移りそうだ。

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