オンチェーン分析企業のGlassnodeは、発行済みBitcoinの30.2%が量子リスクにさらされたアドレスで保管されているとの分析を明らかにした。リスクの多くはプロトコルの構造そのものではなく、利用者やカストディアンによるアドレス管理のあり方に起因するとしている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが21日(現地時間)に伝えたところによると、Glassnodeは量子リスクにさらされたBitcoinの総量を412万BTCと試算した。これは、旧来のスクリプト形式などに起因する構造的なリスク分とされる192万BTCを大きく上回り、2倍超の水準となる。
Glassnodeは、量子リスクへの露出を大きく2つに分類した。1つは、Bitcoinの設計上、公開鍵がオンチェーンに直接現れる「構造的な露出」だ。具体的には、サトシ期の初期P2PK(Pay-to-Public-Key)コイン、ベアマルチシグ、最新のP2TR(Pay-to-Taproot)出力が含まれる。
もう1つは、保有者がアドレスや出力をどのように管理するかによって生じる「運用上の露出」だ。P2PKH(Pay-to-Public-Key-Hash)やP2WPKH(Pay-to-Witness-Public-Key-Hash)のように、通常は公開鍵がハッシュの背後に隠れているアドレスでも、アドレス再利用や一部出金によって残高を含め保護が弱まる可能性があるという。
Glassnodeは「現在、休眠資産の露出の大半は、単純なレガシースクリプトの設計上の問題ではなく、鍵管理とアドレス管理の問題によるものだ」と指摘した。
なかでも運用上の露出が目立つのが取引所ウォレットだ。取引所は、運用上のリスクにさらされたBitcoinを約166万BTC保有しており、全体の該当量の約40%を占めるという。
Glassnodeはさらに、「ラベル付けされた取引所保有Bitcoinの約半分が脆弱な領域にある一方、非取引所保有分では30%未満にとどまる」と分析した。
取引所ごとの差も大きい。Glassnodeは、Coinbaseの露出比率を5%とみる一方、Binanceは約85%、Bitfinexは100%としている。
他の保有主体でもばらつきがみられた。WisdomTreeは保有分の全量が露出状態に分類され、Grayscaleは保有量の約半分が露出した出力に入っていた。一方、米国、英国、エルサルバドルの国家ウォレットについては、露出量は確認されなかったとしている。
時間の経過とともに、取引所保有Bitcoinのうち「安全な領域」にある比率が低下している点も確認された。2018年には約55%だったが、足元では約45%まで下がった。アドレス再利用や一部出金といった管理手法の積み重ねによって、公開鍵が露出する可能性が高まったことを示す。
今後の対策としては、Taprootの防御力を高める手段としてBIP-360に言及した。一方でGlassnodeは、運用上の露出の相当部分は、コンセンサスルールを変更しなくても減らせるとの見方を示した。アドレスを定期的に更新し、再利用を避けるだけでもリスク低減につながるとしている。
今回の集計は、Bitcoinの量子リスクがプロトコル設計だけで決まるのではなく、保管・運用方法にも大きく左右されることを示した。取引所やカストディ事業者のアドレス管理が、リスクの規模を大きく変え得ることを改めて浮き彫りにした。