写真=Shutterstock。今回の売却は業績不振への対応というより、運用主導権の移行に伴うポートフォリオ再編との見方が強い。

Berkshire HathawayがVisaとMastercardの保有株をすべて売却したことが明らかになった。市場では、個別銘柄の見直しにとどまらず、グレッグ・アベル体制への移行に伴うポートフォリオ再編の一環と受け止める見方が広がっている。

ブロックチェーン系メディアのCryptopolitanが21日(現地時間)に報じたところによると、Berkshire Hathawayは最新の四半期報告書で、Visa、Mastercard、Amazonの持ち分をすべて手放した。一方で新規組み入れや保有比率の調整も確認されており、なかでもVisaとMastercardの全面売却に市場の関心が集まった。

今回の売却は、ウォーレン・バフェットに代わって実質的に運用を主導しているグレッグ・アベル氏の下で行われた、初の大規模な組み替えとみられている。売却対象が、2025年末にJP Morganへ移ったトッド・コムズ氏が過去に運用していた銘柄群と重なることから、市場ではコムズ色の強い資産を整理する動きとの見方も出ている。

The Wall Street Journal(WSJ)はこれに先立ち、アベル氏がコムズ氏の買い付け銘柄の整理に段階的に着手したと報じていた。こうした流れを踏まえると、VisaとMastercardの売却も、業界見通しの悪化を織り込んだものというより、運用体制の移行に伴う見直しの延長線上にある可能性が高い。

実際、Visaの足元の業績は堅調だ。最高財務責任者(CFO)のクリストファー・スー氏は、直近四半期について、新型コロナウイルス禍後の反動増局面を除けば、この10年余りで最も力強い成長局面の一つだと評価した。

付加価値サービスの売上高は33億ドルと全体の約30%を占め、前年同期比27%増だった。商業決済と送金事業も24%伸びており、全体として成長基調を維持している。

越境決済も、中東情勢やラマダンの影響があるなかで比較的安定して推移した。Visaは5月中旬までに取引動向が改善し、幅広い所得層でカード利用が底堅く増加したと説明している。業績面だけをみれば、Berkshire Hathawayが業績悪化銘柄を処分したわけではないことがうかがえる。

VisaはBerkshire Hathawayの保有銘柄のうち保有額ベースで13位、Mastercardは15位の中核銘柄だった。2025年末時点の保有額は、Visaが約29億1000万ドル、Mastercardが約22億8000万ドルとされる。

とりわけVisaは、2011年の初回組み入れ以降、配当再投資を含めて累計1750%超のリターンを上げた長期保有株だった。今回の売却を、単なる損失回避や業績悪化への対応とみるのは難しいとの指摘が出ている。

もっとも、市場ではカードネットワーク業界を巡る構造変化をリスク要因として挙げる声もある。ステーブルコインや人工知能(AI)ベースの決済システムが広がれば、既存のカード手数料モデルが圧迫される可能性があるためだ。ブロックチェーン基盤の決済網が拡大すれば、既存のカードネットワークを迂回する取引が増えるとの見方もある。

VisaとMastercardも、こうした変化への対応を進めている。Visaはトークン化決済の拡大を推進しており、現在では電子商取引決済の過半がトークン基盤で処理されているという。これは前年より約30%増えており、デジタル決済インフラの転換を示す指標と受け止められている。

今回の四半期報告書では、売却だけでなく新規組み入れや買い増しも確認された。Alphabetの持ち分は増加し、Berkshire Hathawayの保有銘柄で上位に浮上した一方、Chevronは一部縮小したとされる。

市場の関心は今後、アベル氏がコムズ氏時代のポートフォリオ整理を継続するのか、それともカード株のようにファンダメンタルズが堅調な銘柄も含めて構造的な再編を進めるのかに移っている。

キーワード

#Berkshire Hathaway #Visa #Mastercard #グレッグ・アベル #トッド・コムズ #Alphabet #Amazon #ポートフォリオ再編 #決済 #トークン化 #ブロックチェーン
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.