ビタリク・ブテリン氏は、Ethereumのベースレイヤーにプライバシー機能を組み込むための短期的なアップグレード計画を明らかにした。アカウント抽象化やFOCILなどを2026年後半に予定する「ヘゴタ・ハードフォーク」に向けて進める方針で、こうした強化策がETH需要やメインネットの利用拡大につながるかが焦点となっている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが21日(現地時間)に報じた。議論の発端となったのは、マージやステーキング、レイヤー2の拡大、現物ETFの承認といった材料がそろう中でも、Ethereumがなお2000ドル前後で推移しているのはなぜか、という公開対話だった。
論点の一つは、Ethereumが十分な「貨幣性」を備えていないのではないかという見方だ。あるユーザーは、ベースレイヤーでのプライバシー実装こそ、ETHに実質的な貨幣性を与える可能性が最も高い機能だと主張した。
このユーザーは、ベースレイヤーのプライバシーが実現すれば、ETHのユーティリティ価値は一気に高まると指摘。レイヤー1でのプライバシー強化は、メインネット手数料の増加にもつながり得るとの見方を示した。
これに対しブテリン氏は議論に直接加わり、「Ethereumをデフォルトでプライベートな方向へ移行させるための短期的な取り組み」を説明した。具体策として、アカウント抽象化、FOCIL、アクセス層に関する取り組みであるKohaku、非公開照会を挙げた。
アカウント抽象化は、ウォレットの使い勝手を高めつつ、設計の柔軟性を広げるものだ。あわせて、非公開送金が検閲されにくい仕組みとしての役割も期待されている。Kohakuについては、サービス事業者によるウォレットデータ照会の実態を把握しにくくし、ユーザーがどのアドレスを確認したか追跡しづらくするツールだと説明された。
このうち、アカウント抽象化とFOCILは、2026年後半に予定されるヘゴタ・ハードフォークを目標に開発を進めているという。市場では、こうしたプライバシー強化策が実際の需要創出に結び付くかどうかに関心が集まっている。
一方、Wintermuteは最近、ETHについて「マクロ環境と整合しにくい資産」との見方を示しており、ETH/BTC比率は10カ月ぶりの低水準を記録した。
それでも、市場ではプライバシー関連の技術スタックが動き出せば、メインネットの活動を再び押し上げる可能性があるとの期待も出ている。ブテリン氏の動きは、Ethereum内部の開発にとどまらない。
同氏は最近、Zcashの開発企業であるShielded Labsに寄付し、エコシステム全体でプライバシー技術を支援する姿勢も示した。
今回のアップグレードを巡る議論は、単なる技術改善の話ではない。ETHの需要構造そのものに関わるテーマでもある。マージ以降のストーリーだけでは価格や利用拡大を十分に説明しきれない中、ベースレイヤーのプライバシーが、Ethereumの弱点として指摘されてきた「欠けていた機能」を補えるかどうかが今後の焦点となる。