ジェンスン・フアンNVIDIA CEO(写真=Shutterstock)

NVIDIAが自社CPU「Vera」を投入し、AIインフラの新市場開拓に乗り出した。GPUを軸に成長してきた同社が、エージェントAI時代を見据えてCPU事業を本格的に広げることで、IntelとAMDが主導してきた市場構図に変化を促す可能性がある。

米TechCrunchが21日(現地時間)に報じた。ジェンスン・フアンCEOは決算発表後のカンファレンスコールで、「VeraはNVIDIAに新たなTAM(総アドレス可能市場)をもたらした」と述べ、市場規模を約2000億ドル(約30兆円)と説明した。

Veraは、NVIDIAが3月に公表したCPU製品。単体でも提供するほか、次世代GPU「Rubin」と組み合わせても供給する。フアン氏はVeraについて、「エージェントAIのためにゼロから設計された世界初のCPU」と位置付けた。

NVIDIAは、エージェントAIの普及によってCPU需要の構造そのものが変わるとみている。フアン氏は、AIモデルの推論や思考処理はGPUが担う一方、エージェントがツールを使って作業を実行する局面ではCPUの役割が重要になると強調した。人間がPC上で作業するのと同様に、AIエージェントもCPUを基盤とする環境で動作するようになれば、長期的に大きなCPU需要が生まれるという見立てだ。

フアン氏は「世界には10億人の人間ユーザーがいるが、今後は数十億のAIエージェントが登場する」としたうえで、「それらのエージェントはすべてツールを使うようになり、結果としてはるかに多くのCPUが必要になる」と語った。

市場では、NVIDIAのCPU参入を次の成長戦略とみる向きがある。CPU市場はこれまでIntelとAMDが主導してきたが、足元ではクラウド大手も独自のAIチップ開発を進めており、競争は一段と激しくなっている。

実際、Amazon Web Services(AWS)は最近、MetaとAI CPUの供給契約を結んだと公表した。アンディ・ジャシーCEOも、自社AIチップが一部領域でNVIDIAに対して競争力を持つ可能性があるとの見方を示したことがある。GoogleもTPUシリーズを自社開発しており、AIインフラの内製化を進めている。

NVIDIAはVeraの差別化要因として、「エージェントAIへの最適化」を掲げる。従来のデータセンター向けCPUが、多数のアプリケーションインスタンスを効率よく処理することを重視してきたのに対し、VeraはAIトークン処理の高速化を重視した設計だという。AIエージェント環境に特化した演算構造によって、既存CPUとは異なる市場を切り開く狙いだ。

フアン氏は初期の販売実績にも触れ、「今年のVera単体の売上規模はすでに200億ドル(約3兆円)水準に達している」と明らかにした。「まだ始まりにすぎない」とも述べ、需要拡大に自信を示した。

NVIDIAの業績も引き続き堅調だ。直近四半期の売上高は816億ドル(約12兆2400億円)と過去最高を更新した。次四半期の売上高見通しも910億ドル(約13兆6500億円)とした。GPU主導の成長が続くなか、Veraが新たな柱として定着すれば、AIインフラ分野での影響力はさらに強まる可能性がある。

もっとも、今後の焦点は大規模導入が実際に進むかどうかにある。NVIDIAは主要ハイパースケーラーやシステムメーカーがVera導入に向けて協力しているとする一方、IntelやAMDに加え、独自チップを開発するビッグテックとの競争も深まっているためだ。

市場では、Veraが単なる新製品にとどまらず、NVIDIAがGPUに続く新たなAIインフラの標準を築けるかどうかに注目が集まっている。

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