【ラスベガス】AI導入の加速を受け、企業のインフラ戦略で「どこでAIを動かすか」が重要性を増している。Dell Technologiesは、AIワークロードがパブリッククラウドだけでなく、企業データセンターやエッジ、デスクサイド環境へ広がるとみており、データの近くでAIを実行する構成がトークン課金とデータ移動コストの抑制につながると訴える。
Dell Technologiesのバルン・チャブラ上級副社長は20日(現地時間)、米ラスベガスで開催中の「Dell Technologies World 2026」で韓国メディアの取材に応じ、「今後のAIインフラ戦略では、データの所在とトークン課金が重要な変数になる」と述べた。
◆AI時代のインフラ戦略、焦点はトークン課金
チャブラ氏は、エージェンティックAIの普及がオンプレミスAI需要を押し上げる可能性があるとみる。データ移動を最小限に抑えるプライベート環境でのモデル運用は、トークン課金の圧縮にもつながるという。
同氏は「エージェントの実行が増えるほど、消費するトークンも増える」と説明。「パブリッククラウドやAIベンダーのAPIはトークン単位の従量課金が中心で、利用上限に早い段階で達するケースも出ている」と指摘した。
その上で「デスクサイド機器やサーバーを購入することは、いわばトークンを自前で生み出す基盤を持つのと同じだ」と述べ、「オンプレミスやデスクサイド環境でAIを動かせば、トークン単価を継続的に支払う必要がなくなり、経済性を高められる」と強調した。
Dell TechnologiesはNVIDIAとの協業を通じ、AIファクトリーのポートフォリオを拡充している。今回のイベントでは、ローカル環境で自律型AIエージェントを構築・運用できる「Dell Desk-side Agentic AI」を発表した。企業がデータを外部に持ち出さずにAIエージェントを安全に稼働させるためのソリューションで、変動の大きいクラウド課金を見通しやすい設備投資に置き換えられるとしている。
チャブラ氏は、フロンティアモデルのオンプレミス活用にも注力する姿勢を示した。「これまではGeminiやGrok、OpenAIのようなモデルはクラウド経由でしか利用しにくかったが、現在はDellのサーバー基盤を使ったオンプレミス環境でも活用できるよう支援している」と述べた。
◆分散型プライベートクラウドを次の有力選択肢に
Dell Technologiesは、プライベートクラウド戦略の柱として「分散型」を掲げる。ケイトリン・ゴードン副社長は、分散型プライベートクラウドを次世代のクラウドアーキテクチャとして提示した。
ゴードン氏は「AI導入が進んでも、企業データの大半は依然として自社データセンター内にある」と説明し、「今後、顧客にとって最適な選択肢は分散型インフラになると考えている」と語った。
Dell Private Cloud(DPC)は、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の運用のしやすさと、従来の3層アーキテクチャが持つ効率性・拡張性を組み合わせた構成を採る。コンピュート、ストレージ、ネットワーク、仮想化の各レイヤーを個別に拡張できるため、必要なリソースだけを柔軟に増強できるという。
コスト面でも優位性を見込む。HCIでは、コンピュートノードがアプリケーション処理とストレージ処理を同時に担うため、多くのメモリやドライブが必要になる。一方、分散型クラウドではコンピュートをアプリケーションワークロードに集中でき、ノード数やコア数、ハイパーバイザーのライセンス費用を抑えられる。ゴードン氏は「HCIと比べ、分散型インフラは最大65%のコスト改善が可能だ」と説明した。
同氏は、BroadcomによるVMware買収後、ハイパーバイザー戦略の見直しを進める企業を意識した提案でもあると位置付ける。「DPCは、VMware依存の見直しを進める顧客を支援するために設計した」とした上で、「現行ハイパーバイザーを支えつつ、将来的に別の選択肢へ移行できるよう、コスト効率の高い基盤を提供する」と述べた。