Microsoftは5月21日、「Frontier Transformation」戦略に基づくグローバル企業のAI導入事例を公表した。AIエージェントやCopilotの活用によって、働き方や事業運営を見直し、成果につなげた事例として、航空、鉄道、金融、セキュリティなどの取り組みを紹介している。
まず、AIエージェントを業務に組み込んだ事例として、航空、鉄道、金融、セキュリティ分野を挙げた。
航空業界では、1日4万件の問い合わせに対応するAir Indiaを紹介した。Microsoftによると、同社は顧客対応に生成AIを大規模導入し、Azure OpenAIとMicrosoft Foundryのモデルを基盤とするAIエージェント「AI.g」を6カ月で構築した。提供開始後は累計1300万件超の対話に対応し、解決率は97%に達したという。
香港の鉄道運営会社MTRでは、AIを活用して乗客体験を改善した。AzureベースのAIアシスタント「AI Tracy」が、乗車券、駅施設、周辺情報などをリアルタイムで案内する。あわせてMicrosoft 365 CopilotとPower Platformも導入し、文書作成や要約、分析といった事務作業を効率化した。
Tru Cooperative Bankは、Microsoft 365 CopilotとCopilot Studioの導入により、事務効率とサービス提供のスピードを高めた。従業員の導入率は93%、週次利用率は90%を記録。創出した時間は、付加価値の高い相談業務やパーソナライズしたサービスに振り向けている。
セキュリティ企業のContraforceは、侵害インシデント対応にかかる時間の90%以上を自動化した。Microsoft Sentinel、Microsoft Defender XDR、Entra ID、Azure OpenAIを組み合わせたAIベースのセキュリティプラットフォームを構築し、増員せずに24時間のセキュリティ運用体制を拡充したとしている。
Microsoftはこのほか、Copilotを全社標準として採用し、分断された業務環境を統合して働き方を変革した企業や公共機関の事例も紹介した。
食品・飲料大手のPepsiCoはMicrosoft Teamsを標準化し、Microsoft 365 Copilotを全社展開した。導入後、Microsoft 365 Copilotの日次アクティブ率は90〜95%に達したという。
Mercedes-BenzもMicrosoft 365 Copilotを全社展開している。Microsoftは、欧州産業界でも最大級かつ包括的な導入事例の一つだと説明した。AIを中核業務プロセスに体系的に組み込み、運用コストの削減と、市場変化に対応する意思決定力の強化を進めているという。
教育分野では、米フロリダ州のBroward County Public Schoolsを紹介した。同教育機関はMicrosoft 365 Copilotを導入し、システムの近代化と業務の見直しを進めている。
建材分野ではCemexが、意思決定に要する時間を「日」単位から「秒」単位に短縮した。Microsoft FoundryとAzure OpenAIを基盤とするAIエージェント「LUCA Bot」を構築し、120を超える主要業績評価指標(KPI)をリアルタイムで提供している。
コンサルティング大手のKPMGはMicrosoft Fabricを導入し、分散していたデータ環境を統合した。その結果、顧客データのオンボーディング時間を16時間から2時間へと87%短縮し、IT運用業務の負荷も25%軽減したとしている。
Tata Realtyは、不動産開発分野でデータ統合により分断リスクの低減を図った。Microsoft Fabricを基盤に、エンジニアリング、データウェアハウス、レポーティングの各環境を一元化し、データ処理時間を20%短縮、年間の分析コストを20〜30%削減したという。
Microsoftのコマーシャルビジネス部門CEO、ジャドソン・アルソフ氏は「Frontier Transformationは、組織の運営、競争、成長のあり方を根本から変えつつある」とコメントした。さらに「Microsoftは、オープンで安全かつ多様なモデルに対応したプラットフォームを通じて、企業が人の可能性を引き出し、独自の知見を意思決定と実行につなげ、測定可能なビジネス成果を生み出せるよう支援している」と述べた。