写真=Wikimedia Commons(ヘスター・ピアース(SEC委員))

米証券取引委員会(SEC)で暗号資産タスクフォースを率いてきたヘスター・ピアース委員が、11月に退任する見通しとなった。実現すれば、SECは定員5人のうち2人の体制となり、暗号資産規制を巡る政策運営の空白がさらに広がる可能性がある。

Cointelegraphが20日(現地時間)に報じたところによると、ピアース氏は米バージニア州のRegent University法科大学院で准教授に就く予定で、これに伴い11月にSEC委員を退く見込みだ。

大学側は、ピアース氏が連邦訴訟や証券規制、デジタル資産分野を担うと説明した。ピアース氏のSECでの任期は2025年6月に正式に終了しているが、SECの規定では後任が決まらない場合、任期満了後も約18カ月間は職務を続けることができる。

ピアース氏は2018年1月にSEC委員に就任した。ドナルド・トランプ大統領の指名を受け、2017年12月に上院承認を経て着任し、2020年に再任された。

暗号資産業界では「クリプト・マム」の異名で知られ、業界に理解を示す立場で注目を集めてきた。SEC内では暗号資産タスクフォースのトップも務めている。

今回の退任は人事上の動きにとどまらず、SECの規制・執行体制にも影響を及ぼす見通しだ。民主党系のキャロライン・クレンショー前委員も、任期満了から18カ月後にあたる今年1月に退任したが、トランプ大統領は後任をまだ指名していない。

ピアース氏も退任すれば、SECに残るのは共和党系のマーク・ウエダ委員とポール・アトキンス委員長の2人だけとなる。

SECと米商品先物取引委員会(CFTC)は、米国の暗号資産市場を監督する主要な連邦金融当局だ。ただ、2025年1月のトランプ政権発足後、SECは暗号資産を巡る規制・執行方針を大きく転換した。

SECは、トランプ氏とその家族に関連する案件を含め、複数の暗号資産企業に対する執行措置や調査を取り下げた。

また、アトキンス委員長とマイケル・セリックCFTC委員長は、両機関の管轄を巡る対立の解消に向けて調整を進める考えを示している。

こうしたなか、議会ではデジタル資産の市場構造を定めるClarity法の議論が進んでいる。

Clarity法は、暗号資産市場に関する規制権限のかなりの部分をSECからCFTCへ移す内容になるとみられている。このため議員らは、両機関が超党派で委員をそろえ、通常の意思決定体制を回復する必要があると求めている。

もっとも、CFTCも定員5人に対し、現在はマイケル・セリック委員長1人しか残っていない。SECもピアース氏の退任後は、定員5人中2人の体制となる。

トランプ大統領は21日時点で、両機関の新たな委員人事を示していない。暗号資産の市場構造法案の審議と規制権限の再編が進む局面で、米主要金融当局の欠員問題が同時に表面化している。

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