SpaceXは米証券取引委員会(SEC)に提出していた新規株式公開(IPO)の関連書類を公開し、ティッカー「SPCX」でナスダックに上場する計画を明らかにした。開示資料では、ビットコイン保有額や軌道上データセンター構想なども示された。
20日(現地時間)にEngadgetなどが報じた。SpaceXは4月に非公開で提出していたS-1を公開し、IPOに向けた手続きを本格化した。6月8日から大手機関投資家向けの説明日程を開始する案も進めているという。
今回の開示により、同社は財務構造やガバナンスの概要を投資家に初めて示した。
公開資料によると、SpaceXは1万8712ビットコインを保有している。評価額は14億ドルを超えるとしているが、取得時期や平均取得単価は開示していない。
暗号資産市場では、IPO準備とあわせて明らかになったこの保有規模にも関心が集まっている。
議決権については、イーロン・マスク氏が議決権の85%を保有する。保有株数はクラスA株が8億4950万株、クラスB株が55億7000万株。個人・法人を含め、5%超を保有する他の主体はいないとしている。
業績面では増収基調が続く一方、赤字も計上した。直近四半期の売上高は46億9000万ドルで、前四半期比15%増。2025年通期の売上高は186億7000万ドルと、前年比33%増だった。
一方、直近四半期の純損失は42億8000万ドル、2025年通期の損失は49億4000万ドルとなった。ロケット、衛星、コンピューティング、AI開発に対する大規模投資を継続していることが背景にある。
開示資料には、上場計画に加え、マスク氏の事業群に関連する資金の流れや宇宙インフラ構想も盛り込まれた。Anthropicについては、直近の契約に基づき、2029年5月まで毎月12億5000万ドルをSpaceXに支払う内容が記載された。
この契約は、AnthropicによるxAIのデータセンター利用を条件に締結されたという。
また、SpaceXは軌道上データセンターの構築計画も公表した。大規模な軌道インフラと軌道上AIコンピューティングシステムの整備には、最大100万機規模の衛星コンステレーション運用が必要になる可能性があるとしている。
主力事業のStarlinkの加入者数は現在1030万人。農村部を中心に利用を拡大し、各国政府や海外通信事業者との契約を通じて事業領域を広げてきたと説明した。
一方で同社は、電波利用の権限、宇宙ごみ低減に関する承認、国際規制への対応など、国内外で広範な許認可が必要になると説明した。適切な時期と条件で承認を得られる保証はなく、承認そのものが下りない可能性もあると警告している。
今回の開示は、SpaceXが打ち上げや衛星通信にとどまらず、軌道上のAI計算インフラまで事業を広げる構想を正式に示したものといえる。上場審査では、こうした事業モデルの実現性や規制対応が焦点となりそうだ。
上場書類では事業リスクにも言及した。SpaceXは今週、Starshipの新型機打ち上げを準備しているが、依然として高リスクの事業であるとの認識を示した。
テキサスの事業所では、作業員が足場から転落して死亡した事故があり、労災記録の管理を巡る問題も改めて取り沙汰されたという。
SpaceXは、上場方針や主要リスク、一部契約の構造を先行して開示した。今後の手続きでは、追加の財務情報や詳細条件が示される可能性がある。
市場では、上場日程がいつ具体化するかに加え、軌道上データセンター構想が規制上のハードルを越えられるかどうかに関心が集まっている。