6月3日の第9回全国同時地方選挙を前に、Naver、Daum、TikTokなど主要プラットフォームが、選挙関連の情報提供体制と偽情報対策を相次ぎ強化している。各社はAIによる検知の高度化や公的機関の情報との連携を進める一方、特設ページの構成やコメント運用、表示ルールにはそれぞれ違いがみられる。
◆Naver、政治・選挙記事のコメント欄を停止 「Cleanbot 3.0」で検知精度向上
Naverは8日、地方選挙の特設ページを公開した。「メディアピックアップ」「地域別選挙ニュース」「世論調査」「選挙の主な日程・基礎知識・過去投票率」などを掲載する。投票日には、地上波3社の共同出口調査と各メディアの予測調査結果をまとめて示す「選挙特集ライブコーナー」も運用する。
コメント操作への対策として、3月19日から6月3日まで、政治・選挙セクションの記事では本文下のコメント欄を停止している。選挙期間中に組織的な投稿で世論がゆがめられるリスクを抑える狙いとみられる。4月23日からは、悪質コメントが一定基準を超えた記事について、コメント機能を自動で無効化する方針も導入した。
AIベースの検知システム「Cleanbot」は「3.0」に更新した。コメント内容に加え、記事の見出しや本文もあわせて分析することで、悪質コメントの検知精度を高めた。韓国インターネット自律政策機構(KISO)や選挙管理委員会とも連携し、候補者関連のコメント削除要請に対応するほか、24時間のモニタリング体制とホットラインも運用している。
◆Daum、AIタイムラインで選挙の流れを可視化 異常パターン検知も導入
Daumは3月末、選挙特設ページを開設した。現在は「AIキーワード」「インタビュー」「世論調査」「深掘り」「注目地域」「補欠選挙」「広域」「基礎・議員・教育監」「タイムライン」「地域情勢」などのコーナーで構成している。
「AIキーワード」では、基礎自治体ごとの言及指数の上位20地域を毎週公表し、地域別の政策キーワードをAIで分析して提供する。「タイムライン」では、候補者の主な発言や主要争点、過去の経歴を時系列で整理し、利用者が一つの画面で選挙戦の文脈を把握できるようにした。29日の期日前投票開始に合わせ、Daumのトップ画面とモバイルのホーム、ニュースタブにも特設ページを掲出する計画だ。
偽情報や不正操作への対策では、AIによる悪質コメントのフィルタリングシステム「Safebot」を適用する。加えて、急激なトラフィック集中、同時多発的な反応、不正操作アカウントの検知、集団リプライによる不正操作、時間帯別の異常パターンという5つの条件を監視する。組織的介入の疑いがある場合には、表示順位への反映をリアルタイムで抑える「動的重み付け制御」を実施する。リアルタイムトレンドでは、選挙への影響行為が禁じられる期間中、候補者や関連人物のキーワードを除外する方針も適用し、世論操作の可能性を抑えるとしている。
◆TikTok、選管公式アカウントとアプリ内選挙センターを整備 AIGCはラベル表示
TikTok Koreaは20日、オンライン説明会を開き、地方選挙に向けた公正性ポリシーを公表した。中央選挙管理委員会は今回の地方選挙を前にTikTokの公式アカウントを開設し、選挙日程や投票手続き、期日前投票の案内などを発信している。TikTokによると、選管の投稿コンテンツの一部は既に再生数2000万〜5000万回超を記録した。
利用者が「地方選挙」「期日前投票」「投票所」などの関連キーワードを検索すると、選管の公式情報へ誘導する「アプリ内選挙センター」の案内バナーを表示する。TikTokの関係者は、選挙情報を自社で解釈して提供するのではなく、公的機関の情報につなぐ仕組みだと説明した。
偽情報対策では、自動検知技術と人手による審査を組み合わせる。グローバルのファクトチェック機関であるLead Storiesと協力し、韓国関連コンテンツの真偽も確認する。直近の四半期透明性レポートによると、削除したコンテンツの99%は事前に対応し、このうち86%は閲覧される前に削除した。選管のサイバー選挙犯罪対応チームとは専用の協力チャネルを運用し、通報されたコンテンツについては、コミュニティガイドラインや国内法への違反有無を確認した上で対応を判断する。
AI生成コンテンツ(AIGC)については、事実に見える内容を含む場合、クリエイターに対しAI生成であることの表示を求める。C2PAなどコンテンツ来歴認証の仕組みとの連携でAI生成と把握した場合には、TikTok側が直接ラベルを付与することもある。ラベルの有無にかかわらず、ガイドラインや国内法に違反すれば削除や表示制限の対象となる。政府・政治家・政党に関連するアカウントについては、政治広告の配信、選挙募金、クリエイター収益化プログラムへの参加を認めない。
各社の対応は、サービス構造の違いを反映したものとなっている。NaverとDaumは、ニュースとコメントを中心とするポータルとして、選挙情報へのアクセス性とコメント管理を重視する。一方、TikTokはショート動画と検索・推薦機能を中心とするプラットフォームとして、選管の公式情報への誘導とAIGC対応に重点を置く。今回の地方選挙は、主要プラットフォームの選挙情報提供体制と偽情報対策の実効性を測る場にもなりそうだ。