暗号資産マーケットメイカーのWintermuteは、ビットコイン(BTC)が7万6000〜7万8000ドルのサポート帯を下抜けた場合、7万ドル台前半まで下落する可能性があるとの見方を示した。とりわけ7万5000ドルを割り込めば、下げが加速するリスクがあると警戒している。
CoinPostによると、Wintermuteは20日に公表した週次レポートで、ビットコインの重要なサポート水準を7万6000〜7万8000ドルと位置付けた。このレンジを明確に下回った場合、相場は一段安となる可能性があるとしている。
短期の注目材料としてWintermuteが挙げたのが、20日に予定されているNVIDIAの決算発表だ。市場予想に沿う内容であれば投資家心理がいくぶん持ち直す余地はある一方、ETFからの資金流出が続き、ファンディングレートの調整も進む局面では、下押し圧力がなお優勢になりやすいと分析した。
特にビットコインが7万5000ドルを割り込んだ場合、心理的節目を崩す形となり、7万ドル台に下落する可能性が高まるとみている。
今回の見通しについてWintermuteは、単なるテクニカル分析ではなく、マクロ経済環境と連動した相場構造として説明した。金利上昇とインフレ再加速への懸念が同時に強まるなかでのビットコイン買いは、機関投資家のリスク資産回帰に賭ける取引に近いとの認識を示した。
その一方で、マクロ環境の改善が十分に進まない限り、機関投資家の資金流入は限定的にとどまる可能性が高いとも指摘した。
マクロ指標も相場の重荷となっている。米国の4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇し、市場予想を上回った。米10年国債利回りも4.58%まで上昇した。
さらにブレント原油の上昇も重なり、インフレ圧力が改めて意識される展開となっている。Wintermuteは、こうした環境がリスク資産全般に逆風になりやすいとみている。
金融政策を巡る見方も悪化している。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に追加利上げに動く可能性を織り込む動きが広がり、その確率は約44%まで上昇したと伝えられている。
また、次期FRB議長候補として名前が挙がるケビン・ウォーシュについて、引き締め志向の強いタカ派と受け止められている点も負担材料に挙げた。
もっとも、弱気材料ばかりではない。Wintermuteは、取引所に保管されている暗号資産残高がここ数年で最低水準まで減少しており、潜在的な売り圧力は限られる可能性があると分析した。
加えて、長期保有者による継続的な買い増しや、米国の暗号資産法案「CLARITY」の進展も、中長期では相場の支援材料になり得ると評価した。
足元の市場では、相反するシグナルが同時に作用している。ETFからの資金流出と金利上昇が下押し圧力を強める一方、取引所残高の減少と長期保有者の買いは下値を支える要因になるという。
このため、当面の相場は7万6000〜7万8000ドル帯を維持できるかどうかに加え、7万5000ドルのサポートを守れるかが方向感を左右しやすいとした。
市場参加者は今後、NVIDIAの決算内容、米金利見通しの変化、ETFの資金フローを主要な変数として注視するとみられる。今回のレポートは、短期的な価格見通しにとどまらず、機関投資家の資金がリスク資産市場へ本格回帰する環境がなお整っていないことを改めて示した。