国際エネルギー機関(IEA)は20日、最新報告書「Global EV Outlook」を公表し、2026年の世界の電気自動車(EV)販売が約2300万台に達し、新車販売の約30%を占めるとの見通しを示した。エネルギー危機や政策変更の影響が続く中でも、EV市場は拡大基調を維持するとの見方だ。
EV専門メディアのElectrekによると、IEAは2025年の世界EV販売について、過去最高を更新する見通しを示した。EVの普及は主要市場にとどまらず、新興国にも広がっている。
IEAは、2024年の世界EV販売が2000万台を超え、前年比で約20%増えたとした。世界で販売された新車の4台に1台がEVだった計算になる。
一方、2025年初めには中国と米国の政策変更の影響で、世界のEV販売が第1四半期に前年同期比約8%減となる場面もあった。ただ、IEAは市場全体の成長トレンドは崩れていないとみている。
地域別では、欧州の第1四半期のEV販売が前年同期比約30%増と持ち直したほか、中国を除くアジア太平洋地域は同80%増と大きく伸びた。中南米も75%増となり、新興市場での拡大余地の大きさが改めて示された。
IEAによれば、3月時点で約90カ国のEV販売が前年を上回り、このうち約30カ国では月次ベースで過去最高を記録した。
最大市場である中国は、販売と生産の両面で主導的な地位を維持した。2024年の中国のEV販売は約1300万台で、新車販売に占める比率は約55%に達した。
中国の完成車メーカーは、世界のEV販売台数の約60%を供給した。生産面でも、世界のEV生産約2200万台のうち約75%を中国が占め、サプライチェーンの中核を担っている。
輸出面での存在感も一段と高まった。中国のEV輸出は、国内生産が内需を上回ったことを背景に、250万台超へと倍増した。中国、欧州、米国を除く地域で販売されたEVのうち、約55%は中国製の輸入車だった。5年前は5%未満で、構図は大きく変化している。
バッテリー供給網でも中国の優位は際立つ。2024年の世界のバッテリーセル生産の80%以上が中国で行われた。
市場拡大の背景としてIEAは、バッテリー価格の下落とエネルギーコスト負担を挙げた。地政学リスクやエネルギー危機の下でもEV需要は底堅く、一部地域では燃料費の上昇がEVへの移行を後押ししていると分析している。
IEAのファティ・ビロル事務局長は、バッテリー価格の低下と政策対応が、EV市場の追加成長を支えるとの見方を示した。
商用分野でも電動化は進む。2024年の世界の電気トラック販売は前年比で2倍超に増え、その多くを中国が占めた。トラック販売全体に占める電気トラックの比率も1割に達した。
東南アジアでもEV販売は2倍超に増加し、市場シェアは約20%に近づいた。IEAは、政策支援と価格下落が続けば、東南アジアでは2035年に新車販売の60%がEVになる可能性があると見込む。
また、追加の政策変更がなくても、世界のEV保有台数は現在の約8000万台から、2035年には最大5億1000万台まで増える可能性があるとした。
今回の報告書には、自動車ソフトウェアとAIの動向を扱う新たな項目も盛り込まれた。EV市場の競争軸が、販売台数の拡大だけでなく、ソフトウェアやサプライチェーンにも広がっていることを示している。