米アリゾナ州立大学の研究チームは、フェニックス周辺の空冷式データセンターから出る排熱が、風下地域の気温を平均1.3〜1.6度、最大で4度押し上げる可能性があるとの分析結果をまとめた。ヒートアイランド現象を強めるだけでなく、冷房需要の増加を通じて新たな排熱を招く悪循環につながる恐れもあるという。
TechRadarが19日(現地時間)に報じたところによると、研究チームは、データセンターから放出された熱が風に乗って拡散し、都市部のヒートアイランド現象を助長して住民の健康リスクを高める可能性があると指摘した。
調査では、フェニックス地域にある4カ所のデータセンターを対象に、風上と風下の気温を比較した。対象には、メサの36MW級データセンターから、チャンドラーの169MW級キャンパスまでが含まれる。研究チームは、これらの施設が最大で4万世帯分に相当する排熱を生じ得るとみている。
実測では、データセンター敷地内で周辺の外気より14〜25度高い温度が観測された。熱はプルーム状に広がりながら風下へ移動し、周辺気温を平均1.3〜1.6度押し上げた。最大では、風上と比べて4度高い値も確認された。
研究を主導したアリゾナ州立大学地理科学・都市計画大学院長のデイビッド・セイラー氏は、データセンターがヒートアイランド現象の強度を1〜2度高めるだけでも、暮らしへの影響は極めて大きいと説明した。気温の上昇は単なる不快感にとどまらず、健康リスクの増大につながるとの見方を示した。
問題は、こうした排熱が電力消費をさらに押し上げる可能性がある点だ。研究チームによると、気温が1度上昇するだけでも住宅地や商業地域の冷房需要は増え、エアコン使用の拡大が新たな排熱を生む。データセンターの発熱が都市全体の冷房負荷と排熱を同時に押し上げる悪循環を招きかねないとしている。
このため研究チームは、都市計画の段階でデータセンターの排熱を独立した変数として織り込むべきだと提言した。セイラー氏らは、開発事業者と地方政府が立地選定の際にこうした影響を考慮し、データセンターと住宅密集地の間に緑地帯や樹林地、公園などの緩衝区域を設ける案を検討する必要があると指摘した。
今回の研究は、データセンターを巡る地域住民の反発が、送配電網への負荷や水資源の問題にとどまらないことも示している。研究チームは、排熱が計画中または稼働中のデータセンター周辺で住民反対を招く一因になっているとみている。
AIの普及で、数千基のGPUを動かす大規模データセンターの建設は加速している。発熱対策はもはや施設内の効率だけの問題ではなく、都市環境や公衆衛生の観点からも検討が必要だ。フェニックスの事例は、今後の増設にあたり、冷却方式と立地周辺の緩衝設計を一体で考える必要性を示している。