ジョニー・スルージ氏(写真=Apple)

Appleが、次世代機器の開発スピードを高めるためハードウェア部門の再編を進めている。自社シリコン設計部門と製品開発部門の連携を強化し、開発のボトルネックを減らすとともに、将来製品に向けた体制を見直す狙いがある。

米ITメディアの9to5Macによると、再編はジョニー・スルージ氏が主導している。製品開発の迅速化に加え、社内のシリコン設計部門と製品開発部門の協業をこれまで以上に密にする方向だという。

今回の動きは、Appleが先月実施した経営陣の人事に続くものだ。同社は当時、ジョン・ターナス氏が9月1日付で最高経営責任者(CEO)に就くと発表。同時に、スルージ氏の権限を拡大し、ハードウェア全体を統括する役割を強めていた。

これを受け、スルージ氏はハードウェア部門全体の再編に着手し、次世代製品の開発体制を組み直しているとされる。

再編の柱は、自社チップ戦略と製品開発組織の結び付きを一段と強める点にある。Appleは近年、iPhone、Mac、iPadなどへの自社設計チップ「Apple silicon」の採用を広げてきた。

これに伴い、シリコン設計段階と製品開発段階の連携の重要性は増している。今回の組織再編も、そうした流れを反映したものとみられる。

Appleは、チップを設計するシリコン設計部門と製品開発部門の連携を深めることで、開発スピードと製品の完成度を同時に高める考えだ。業界では、製品投入時期の調整や設計変更への対応がより迅速になる可能性があるとみている。

製品設計側の役割にも変化が見込まれる。これまで製品設計部門は、インダストリアルデザインチームが示したコンセプトを量産可能な製品へ落とし込む役割を担ってきた。

スルージ氏は、このプロセス自体を見直し、構想から製品化までの期間短縮を図る考えとされる。

新組織の立ち上げも進める。Appleは「Ecosystems Platforms and Partnerships」を新設し、マット・コステロ氏とケビン・リンチ氏の2氏が共同で率いる体制とした。

リンチ氏は社内でロボティクス関連の特別プロジェクトを率い、コステロ氏はホーム製品とオーディオ事業を担当してきた。新組織の具体的な業務範囲は明らかにしていないが、名称からは機器間連携やプラットフォーム運営、外部パートナーとの協力を担う組織とみられる。

Appleはハードウェア組織の細分化も進めている。9to5Macによると、スルージ氏はこれまでにハードウェア組織を5つの領域に分ける方針を示していたという。

今回の措置はその延長線上にあり、開発体制をより細かく区分し、各チームの責任範囲を明確にする流れの一環と位置付けられる。

一連の変更は、製品開発のスピードと部門間の協業を同時に引き上げる試みといえる。自社シリコンとハードウェアの完成度を一体で管理する体制の下、チップ開発チームと製品チームの距離を縮めることは、新製品の投入時期や品質に直結する可能性がある。

ロボティクス、ホーム、オーディオをまたぐ新たなプラットフォーム組織の新設により、スルージ氏の体制のハードウェア戦略がAppleの次世代機器戦略全体にどう広がるかが注目される。

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