太陽光発電の拡大が世界の電源構成を左右するとの見方を示した。写真=Shutterstock

BloombergNEFは19日、太陽光発電がコスト競争力を追い風に、2035年までに世界最大の電源になるとの見通しを示した。一方で、AIの普及に伴うデータセンターの電力需要拡大を受け、化石燃料も中長期的に一定の役割を維持する可能性が高いと分析した。

米ITメディアのTechCrunchによると、BloombergNEFは同日公表した報告書で、太陽光が経済性だけで世界の電力市場における主力電源の地位を確立すると予測した。

報告書が重視したのは、太陽光のコスト優位性だ。発電コストの低下が続いており、強い規制がなくてもエネルギー転換は進みうるとみている。

BloombergNEFのマティアス・キメル氏は「太陽光が競争に勝っている」と述べた。

実例として挙げたのがパキスタンだ。ロシア・ウクライナ戦争後の天然ガス価格急騰を受け、この2年間で約25ギガワット(GW)の太陽光設備が新たに導入されたという。

太陽光の拡大は、産業全体の電化に加え、AI関連データセンターの需要増とも重なって進んでいる。データセンターは足元で、電力需要の伸びが最も大きい分野の一つとされる。

BloombergNEFは、データセンターの拡大に伴い、新たな発電設備需要として、ユーティリティ規模の太陽光で1テラワット(TW)、さらに400GW、天然ガス370GW、石炭110GWが必要になると見込む。

ただ、AIデータセンターが求める24時間の安定供給は、太陽光中心への転換ペースを鈍らせる要因にもなる。報告書は2050年までに、データセンター向けの追加発電量の約51%を天然ガスと石炭が担うと予想した。

太陽光は天候や時間帯の影響を受けるため、安定電源を完全に置き換えるのはなお難しいとしている。

このため、電力インフラを巡る競争軸は、単純な太陽光の増設から蓄電技術の確保へ移りつつある。スペインやイタリアでは、日中の太陽光供給の急増で電力価格が下がり、単独の太陽光発電所の採算性が低下した。

こうした流れを受け、業界は太陽光と電池を組み合わせたハイブリッド発電所の建設に軸足を移している。

BloombergNEFは、蓄電池市場が現在、2020年ごろの太陽光市場に似た初期成長段階にあると評価した。昨年、世界で導入された系統連系型蓄電池の容量は112GWで、2035年には約3倍に拡大すると予測している。

こうした中、Redwood MaterialsやFordもエネルギー貯蔵事業の拡大に動いている。

太陽光のコスト低下は今後も続く見通しだ。BloombergNEFは、2035年までに太陽光の発電コストがさらに約30%低下すると予測。2050年には、太陽光の発電量が天然ガスの2倍を超える可能性があるとした。

コスト低下の背景としては、中国の大規模生産体制と産業政策を挙げた。キメル氏は「一般に導入容量が2倍になればコストは下がるが、太陽光はそれを上回るペースで低下した」と説明した。

一方、報告書は、中東情勢の悪化やイランを巡る地政学リスクが今回の分析に十分織り込まれていないとも指摘した。それでもBloombergNEFは、経済性を軸にしたエネルギー転換が、長期的には各国のエネルギー輸入依存の低下につながる可能性があるとみている。

業界では今回の見通しについて、太陽光中心のエネルギー転換が進む一方、AIデータセンターが求める大規模な常時電力が、化石燃料の後退を遅らせる可能性を示したとの受け止めが出ている。今後は、太陽光そのものの拡大だけでなく、蓄電池や長時間貯蔵設備、地熱、原子力といった補完電源がデータセンター需要をどこまで支えられるかが焦点となりそうだ。

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