Tetherは、新興国向け送金の拡大に向けてフィンテックプラットフォームのLemFiに出資する。LemFiは今後、展開地域の送金・決済基盤にUSDTを導入し、銀行経由の送金プロセスの一部をブロックチェーンベースの仕組みに切り替える方針だ。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが18日(現地時間)に報じた。投資額は明らかにしていない。
LemFiは、欧州や米州からアフリカ、アジアへ資金を送る際に利用されるフィンテックアプリ。今回の協業を通じて両社は、国際送金の処理時間短縮と運用コストの削減を狙う。
従来の海外送金は、銀行間の中継プロセスが多く、着金までに時間を要しやすい。一方、ステーブルコインを使った送金は、ブロックチェーン上で資金を直接移転できるため、遅延を抑えやすいのが特徴だ。
今回の出資によりTetherは、USDTを単なる取引手段にとどめず、実需決済インフラとしての用途拡大を進める。LemFiも、Tetherの流動性と技術支援を活用し、ブロックチェーンを使った清算の仕組みを自社サービスに組み込めるようになる。
両社は、この仕組みが将来的に他の決済や金融サービスにも広がる可能性があるとしている。
Tetherの最高経営責任者(CEO)、パオロ・アルドイノ氏は、今回の投資について、国境をまたぐ資金移動で速度、コスト、透明性を重視する両社の共通ビジョンを反映したものだと説明した。
同氏は、LemFiの成長とイノベーション計画を支援することで、海外送金ニーズの高い利用者に対し、安定したデジタル資産の利点を提供できると述べた。
LemFiの共同創業者兼CEO、リドワン・オラレレ氏は、今回の取引は自社の事業方針を裏付けるものだと評価した。USDTをLemFiのインフラに統合することで、利用者の居住地や送金先に左右されにくい金融システムに近づくとの見方を示した。
今回の取引は、フィンテック企業とステーブルコイン発行体が、グローバル決済や貯蓄、デジタル金融サービスで既存の銀行ネットワークに代わる選択肢として、ブロックチェーン基盤の活用を進める流れとも重なる。とりわけ、海外送金需要が大きい一方で既存金融サービスへのアクセスが十分でないアフリカやアジアでは、送金コストと処理速度が競争力を左右する要素になりやすい。
今回の協業は、USDTの用途を暗号資産取引所の外へ広げる事例ともいえる。Tetherにとっては、LemFiを通じて暗号資産に不慣れな一般の送金利用者にもUSDTとの接点を広げる機会になる。LemFiにとっても、ブロックチェーン清算の活用によって送金サービスの処理構造を簡素化できる利点がある。
今後の焦点は、LemFiがどの地域やサービスからUSDT決済を導入するか、さらにこの仕組みを他の金融商品へ広げるかどうかにある。