写真=NVIDIAのAIエージェント向けCPU「Vera」(提供=NVIDIA AI Infrastructure X)

NVIDIAは、AIエージェント向けに独自設計したCPU「Vera」の初期ロットを、SpaceXやOpenAIなどに供給した。主力のGPUにとどまらず、AIインフラをCPU分野まで広げる動きとして注目される。

19日付のBeInCryptoによると、NVIDIAはSpaceXのほか、OpenAI、Anthropic、Oracle Cloudに対し、初期版のVeraシリコンを供給した。NVIDIAはハイパースケール分野の顧客向けに初期ロットを直接提供したとしており、今回の供給を今後の本格展開の出発点と位置付けている。

Veraは、NVIDIA独自設計の「Olympus」コアを88基搭載する。LPDDR5Xメモリを採用し、最大1.2TB/sのメモリ帯域幅に対応する。NVIDIAによれば、AIエージェントのサンドボックス型ワークロードでは競合するラック級CPUと比べ最大50%高速に動作し、効率は2倍という。CPUを256基束ねたラック構成では、2万2500超の同時エージェントをフル性能で稼働できるとしている。

Veraは、NVIDIAが2026年3月のGTCで公開した「Rubin」プラットフォームの一部。NVIDIAは主力のGPUに加え、AIエージェントサービスに必要なインフラ全体を自社プラットフォームに取り込む方針を鮮明にしている。ジェンスン・フアンCEOはこれまで、AIエージェント基盤サービスを同社にとって数兆ドル規模の機会と位置付けてきた。

市場の反応も早かった。NVIDIAのAIインフラ関連アカウントがSpaceXのテスト参加に謝意を示した直後、イーロン・マスク氏はXに「Vera nice, Vera nice」と投稿し、新製品名をもじって反応した。

SpaceXによる初期導入は、直近のAI組織再編とも重なる。SpaceXはxAIを社内統合した後、「SpaceXAI」ブランドの下で統合AI部門を運営している。この組織はすでにメンフィスで「Colossus 1」「Colossus 2」のスーパーコンピューターを稼働させている。SpaceXがVeraを試験段階から実運用へどこまで早く移行できるかが、今後の成果を左右する要素になりそうだ。

初期顧客はSpaceXに限らない。Alibaba Cloud、ByteDance、Meta、CoreWeave、Lambda、Nscaleも導入予定先に含まれる。NVIDIAが学習向け半導体にとどまらず、AIエージェントの実行・運用段階まで影響力を広げようとしていることを示す動きといえる。

もっとも、これが実際のCPU市場シェアの変化につながるかどうかは、なお見極めが必要だ。顧客が検証を終え、本番環境へ移行して初めて本格普及が見えてくるためだ。AIエージェント向けワークロードを狙う競争もすでに始まっており、AMDを含む複数社が競合チップを準備しているという。Veraの成否は、初期顧客の確保よりも、大規模運用への移行速度に左右される可能性が高い。

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