WRX 写真=Subaru

Subaruは19日、独自開発の電気自動車(EV)投入計画を事実上凍結した。業績の急悪化に加え、米国市場の先行き不透明感が強まる中、EV拡大からハイブリッド車(HV)とガソリン車を重視する戦略へ軸足を移す。

EV専門メディアのElectrekによると、Subaruは2028年までに独自開発EVを最大4車種投入する計画を見直した。これに伴い、群馬県大泉町の大泉工場内で計画していたEV生産構想も先送りし、当面はガソリン車とHVの生産に充てる。

同社はこれまで、2027年から同工場で独自開発EVを量産する方針を示していた。今回の決定を受け、市場では独自EVプログラムが事実上凍結されたとの見方が出ている。新たな投入時期は示していない。

背景には収益の急速な悪化がある。通期の営業利益は前期比約90%減の401億円にとどまった。純損益も513億6000万円の赤字となり、1年前の3250億円の黒字から大きく悪化した。

Subaruは、業績悪化の主因として米国事業に絡むコスト負担を挙げた。関税負担は約2290億円に上り、EV関連損失の計上で3億8500万ドルの費用が追加で発生した。米国政府の政策変更に伴い、環境規制クレジットの価値が下落したことで、280億円規模の評価損も計上した。

最高経営責任者(CEO)のオオサキ・アツシ氏は、米国市場の状況を踏まえ、EV戦略を全面的に見直す考えを示した。「新しい投入日程を決める前に、EV戦略全体を再検討する必要がある」と述べた。

Subaruが電動化戦略を後退させるのは今回が初めてではない。2025年11月には、約1兆5000億円としていたEV投資計画の一部をHVと内燃機関の開発に振り向けると発表していた。今回は独自開発EVの投入日程そのものを見直し、戦略修正をさらに進めた形だ。

日本の完成車メーカーでも同様の動きが広がっている。Mazdaは独自EVの投入時期を2027年から2029年に遅らせ、EV投資も約125億ドルから75億ドル水準へ圧縮すると表明した。ここ数カ月では、Toyota、Honda、Subaru、Mazdaが相次いでEV投資ペースの調整に動いている。

一方で、Toyotaと協業するEVプロジェクトは維持する。ToyotaのプラットフォームをベースにしたSolterra、Uncharted、Trailseeker、3列SUVのGatewayの4車種については、計画通り投入する方針を維持する。

こうした動きから、Subaruは当面、独自EVプラットフォーム開発よりも、既存事業の収益防衛と協業モデルを優先する構えとみられる。

Subaruは2030年までに、EV比率を世界販売の半分程度まで高める目標を掲げてきた。ただ、独自開発EVの投入時期が見通せなくなったことで、目標達成のハードルは高まっている。新工場の活用方針もEV中心からHV・ガソリン車中心へ変わり、同社の電動化戦略は当面慎重な運営が続きそうだ。

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